《食いこ》八右衛門 おにぎらず(茨城・つくば市)  地元の味を詰め込む弁当

茨城新聞
2022年1月18日

寒風吹き付ける駐車場の一角、のれんを掲げた1台の車に人が列を作っていた。「八右衛門 おにぎらず」は店舗を構えず、車で曜日ごとに場所を変えながら、茨城県産食材を使った弁当(700~800円)やみそ汁(200円)などを販売する。1人で店を切り盛りする店主の久保田紀子さん(45)は、湯気の立つみそ汁をよそったり、会計や袋詰めをしたりしながら、客一人一人と笑顔で会話を交わしていた。

月曜は筑波大や県立医療大など、火曜は研究学園駅前公園、土日はイオンモールつくば敷地内にある農産物直売所「えるふ農園」に出店する。もとはスポーツインストラクターをしながら、ご飯で具材を挟んだ「おにぎらず」を不定期で販売していた。昨年夏、企業や知人からの依頼をきっかけに、弁当作りを開始。知人の紹介や口コミなどで人気が高まったことから、移動販売だけに絞った。

野菜をたっぷり使った健康的な弁当には、学生から主婦、お年寄りまでと幅広い年代のファンが多い。予約していないと、販売直後に売り切れてしまうこともしばしばあるという。「調理方法はワンパターンにならないよう、バリエーションを増やしている。こんな食べ方もあるんだ、と知ってもらいたい」と久保田さん。長年通う料理教室で腕を磨いたり、新しいメニューを試作したりと客が食べ飽きないよう、工夫を凝らす。

調理師免許を持つものの、「飲食店での修業経験があるわけではないので、手を掛けて作ることしかできない」と、仕込みは早朝午前3時から開始。できる限り客の要望に応えたいとの思いから、注文が立て込むときには、同1時に起きて弁当作りに励む。

食材は土浦市にある夫の実家の田んぼで取れたコメや同市産のレンコンなど、ほぼ県産。そのため、メニューは日替わりだ。「茨城は野菜や果物、海の幸などおいしい食材がたくさん取れる。せっかくなので、それらを使いたかった」と話す。

なますとだて巻きをお米でサンド

 

いずれは、夫の実家を民泊にし、訪れた人たちに料理を振る舞うことも夢に掲げる。「地元のおいしいをものを食べて、茨城の良さを知ってもらいたい」

■お出かけ情報
八右衛門 おにぎらず
▼月曜は午前11時~午後1時。火曜は正午~午後1時、土日は正午~売り切れ次第終了。平日は弁当とみそ汁(月曜のみおにぎらず)、土日はかまどで炊いた塩むすびと卵かけご飯、みそ汁を販売する。
▼定休は水、木、金曜。
▼(電)090(8872)5363
▼予約はLINEで受け付ける。