技と感性、秀作660点 茨城工芸美術展 20日まで 水戸

茨城工芸会創立95周年「第47回茨城工芸美術展」が20日まで、茨城県水戸市泉町の京成百貨店7階催事場で開かれている。陶磁や金工、漆芸などの8部門に、会員39人が約660点の作品を出品。伝統の技と感性を生かした個性豊かな秀作が並ぶ。同会と茨城新聞社主催。
隔年開催の同展は、1930年に同県筑西市出身の近代陶芸の巨匠、板谷波山の提唱で始まった。昭和初期から90年以上にわたり、郷土の工芸美術の発展に大きく貢献してきた。
作品は陶磁、金工、漆芸、木工、染織、刺しゅう、七宝、ガラスの8部門。陶磁では松井康陽さんら歴代会長、漆芸で辻徹会長の作品が並び、洗練された伝統の技を披露している。
陶磁の井上英基副会長(55)は「碧彩流紋花器(へきさいりゅうもんかき)」など13点を出品。同花器は作品の一部に色の異なる複数の釉薬(ゆうやく)を重ね、釉薬の流れた模様で「波のしぶきを表現した」意欲作だ。福野道隆副会長(55)も「布目緑彩陶花器(ぬのめりょくさいとうかき)」など16点を展示。「形と模様の調和」をイメージした作品が映える。
開幕日の15日には歴代会長などを除いた会員作品の審査が行われた。同会95周年記念賞はガラスの槙野さやかさん、同会賞は金工の石黑美男さん、陶磁の丸山輝悦さん、審査員特別賞は染織の村山佳津典さんが受賞した。47歳の槙野さんは入会1年目で、受賞作「Squishy 1」は、建材用ガラスを研磨して作り上げた。「あまり知られていない技法で作った作品を評価され、ありがたい」と喜んだ。
妻と訪れた同県小美玉市の大越幹男さん(75)は「今回が初めて。趣味で漆作品を作っているので参考になる」と語った。