《食いこ》古民家で味わう旬の野菜 風土庵(つくば市) 心地良い空間に

茨城新聞
2021年6月27日

大木の梁(はり)や漆喰(しっくい)の壁、障子の引き戸-。築120年の古民家を改装した「風土庵(ふうどあん)」は、落ち着いた雰囲気とレトロな見た目が魅力的な料理店。オーナーの野堀敬香子(たかこ)さん(66)は「古い建具や柱がインテリアなの」とにっこり。古民家の良さがそのまま残る同店は、一歩足を踏み入れると、ほっとくつろげるような空間になっている。

旬の野菜がたっぷり使われたランチコース(2500円)は「手に入ったもので作る」のが、野堀さんのマイルール。そのため、メニューが決まっていない。食材のほとんどは、知人が栽培したものを譲り受けたり、地元の直売所で買い求めたりしたもので、新鮮そのものだ。

人気のランチメニュー

 

取材に訪れた6月初旬は、自家栽培のニラのおひたしや、野菜とキノコのナムル、豚肉と粉状のパプリカやニンニクなどを白ワインで煮込んだハンガリー風の煮物といった15品もの料理が皿に並んだ。スタッフとともに、ほぼ全てを手作りする。手間はかかるが「お客さんを裏切れない」と野堀さん。メニューには懐石料理のほか、学生時代にフランス留学していた経験から、西洋料理の趣も取り入れる。

もともと「何かを作って自宅で商売がしたい」と思っていた野堀さん。結婚を機に出版社を退職し、家庭を支える傍ら、夫の仕事を手伝っていたが、1984年に転機が訪れた。義姉から「つくば市内の料理店を引き継がないか」と打診があり、承諾。料理好きだったことも背中を押した。子育て中だったため、当初は「2、3年続けばいいかなと思っていた」が「気付けば20年たっていた」(野堀さん)。当時から素朴な家庭料理を提供し、口コミで常連客が増えていったという。

店が古くなったことなどから、2007年に野堀さんの夫の実家だった古民家に移転した。古民家は店舗の役割に加え、北側が野堀さん夫婦の住まいにもなっている。

広々とした庭はシラカシやカシノキなどの木々が生い茂り、緑豊か。紅葉や葉が落ちた冬枯れも見応えがあるという。キンシバイなどの花も咲き、野堀さんが毎朝摘んで店内に生ける。「お花もごちそうの一部」と、飾り方に気を配る。料理に加え、心地よい空間作りにも心を砕く。

お出かけ情報
風土庵
▼住所は茨城県つくば市遠東398
▼営業時間はランチ正午~午後3時(火-木曜)、ディナー午後5~8時(要予約)
▼定休は月曜・不定休、金曜はディナーのみ
▼(電)029(847)1501

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