創業の味守る黄色いルー カレーライス 昭和軒(佐野)

下野新聞
2021年10月16日

 創業は大正末期。3代目店主鶴見徳幸(つるみのりゆき)さん(63)の祖父・故喜三郎(きさぶろう)さんが屋台から始め、1927(昭和2)年に店を構えた。

 「現在のメニューのほとんどは、当時のレシピ通りに作っている」と鶴見さん。看板メニューの一つであるカレーライス(700円)は妻の利子(としこ)さん(61)がルー作りを担当する。

 ラードで炒めたカレー粉と小麦粉を木べらで1時間ほど練り上げ、鶴見さんが丹精した中華そばのスープを加えれば夫婦自慢の一品は完成だ。

 具は豚肉とタマネギのみと至ってシンプル。マイルドな辛さで、ソースをかけて食べる常連客も多いという。「数十年ぶりに来られたお客さまに、懐かしい、変わらない味でよかった、と言われるのがうれしい」と2人は口をそろえる。

 最近では、会員制交流サイト(SNS)などで黄色のルーに関心を持ったという若い客も増えてきた。

 創業から間もなく100年。老舗食堂の3代目は「祖父の名に恥じぬよう味を守っていくだけ」と気負いはない。

 ■メモ 佐野市栃本町1759。午前11時~午後2時、午後5時~7時半(ラストオーダー7時)。木曜定休。(問)0283・62・0156。

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