《釣り》引きが魅力、ヒラスズキ 日立・伊師浜海岸でルアー釣り 小さくても太い尾周り

茨城新聞
2021年6月12日

茨城の海はさまざな魚が釣れるが、最盛期は初夏と秋。このところよくサーフに通っているが、初夏シーズンには早いのか、本命ヒラメは釣れたり釣れなかったり。しかし代わりにいろいろな魚が釣れる。この日も珍しい魚が釣れた。

5月下旬の日曜日早朝。かなたに鵜の岬を望む日立市の伊師浜海岸に来た。水平線から太陽が顔を出す頃が満潮。風は西(陸)から、ルアーは飛ぶが、浜のコンディションとしてはあまり良いとはいえない。

いつもは明るくなるまでプラグを投げ歩くが、釣り人が多くポイント選びも限定される。しかしこの日は早速ヒット。「来たか!」と気持ちが高ぶったのもつかの間、上がってきたのはソゲ(ヒラメの幼魚)。

海に返すと辺りはすっかり明るい。海岸線はルアーアングラーで混み合い、ゴルフの打ちっ放しのよう。

移動もままならず同じ場所で狙う。ルアーはジグに変えてざぶざぶした波を越える所まで遠投。ストップ・アンド・ゴーで巻き取る。しかしアタリはなく、たまにフグが刺さる。

下げ潮が効いてきた時間帯だが、頭に早上がりがちらつく。帰る人の後に入り、転々と空いたポイントを探っていると、南風に変わる。風向きとは逆にルアーが流される動きが効き、釣れそうな雰囲気。ルアーをワームに変え、流れに乗せるように探る。

しかしアタリはない。釣り人もまばらになり、私もそろそろ潮時かと歩きだすと、ざわざわとサラシ(波が打ち返した後の白い泡)が途切れず速い流れが効いている場所を見つけた。

砂ヒラ(砂浜に居ついたヒラスズキ)がいるかもしれない。西日本に多く、茨城沖にはいなかったが、近年の水温上昇のせいか釣れるようになった。これまで何匹か釣ったが、毎回サラシの中だった。

ルアーをジグに変え、荒いサラシの中層を探る。くねくねさせずにつーっと引くのがこつだ。すると1投目、本当に掛かってきた。

引きが強く、まるで大魚とファイトしているかのよう。波打ち際を激しく横走りして今にも針が外れそうだ。たまらずリールを巻き取りながら自身も砂浜を後退、強引に引きずり上げると、果たしてヒラスズキだった。

大魚のように引きが強いヒラスズキ

 

 

「ちっこい」思わず声が出た。こんなに小さいのになんて力強い。測ると45センチ。タイのような体高、太い尾周り、小さい頭に大きな目。そしてもちろん、うまいのだ。(奔流倶楽部渓夢・上谷泰久)

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