《旬もの》広々ハウスでイチゴ狩り つくばねファーム(つくば市)

茨城新聞
2020年1月12日

カラフルにペインティングされた木のフェンスの奥に、天井の高いビニールハウス。広々とした室内ではイチゴが赤く色づいている。約3000平方メートルのハウスでイチゴを栽培するつくば市の「つくばねファーム」。年明けから人数限定でイチゴ狩りが始まった。5月まで楽しめる。直売やジャムの販売も行う。

 筑波北部工業団地近くにある同ファームは農事組合法人。代表の小辻孝輔さん(36)は長崎県出身。筑波大学卒業後、就職したが1年で退職。つくば市に戻った。2007年後継者を探していた農事組合法人とトマト栽培のハウスを引き継いだ。下妻市の農家で修業。当時、つくば市にイチゴ狩りができる場所が少なかったことから、8年にイチゴ栽培を始めた。「自分のフィールドワークで表現できる形が食を作る農業だった。物作りの面白みを伝えたい」と考える。
 天井が、一番高いところで約9メートルあるトマト用ハウスをそのまま生かし、開業資金を抑えた。開放感あふれる中、イチゴの高設栽培を行う。手作りの棚は、背の低い子どもでも摘み取りやすいように高低差をつけたひな壇式。内側2列が収穫用、外側2列がイチゴ狩り用の苗を植えた棚もあり、工夫を凝らす。
 「イチゴのおいしさを目指すと、おのずと環境に目が行く」と小辻さん。米ぬかや大豆かす、カニ殻などの自家製有機肥料と乳酸菌、酵母菌などを配合して土作りを行う。土中の微生物の働きを促した結果、農薬を使う回数も減ったという。「イチゴが元気なら作業も楽。いい循環につながっている」。主力品種は実が柔らかく、甘味と酸味のバランスがよい「紅ほっぺ」。

 イチゴ狩りシーズンにはマスコットのヤギがお目見えする。イチゴ狩りで出たへたや草を食べさせる。ヤギとの触れ合いを喜ぶ子どもも多い。
 同ファームで加工するジャムは果実の形を残し濃度は緩めに仕上げる。「保存できるイチゴ」のイメージで作る。イチゴ狩り期間中やイベントなどで、ジャムをかけたかき氷や、焼き芋を提供することもある。焼き芋は小辻さんが立ち上げた別の法人で栽培するサツマ芋を使う。
 売店の一角で、展覧会や音楽会などを企画する。イチゴ狩りだけでなく、次につながる価値あるものを生み出す場にしたい。そんな小辻さんの思いが込められている。

■メモ
つくばねファーム
▽つくば市和台原149424
▽(電)029(869)0069

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