《食いこ》季節野菜たっぷりのランチ 山のcafe sasahara(常陸太田市) 山里を居心地よい場所に

茨城新聞
2021年3月24日

茨城県常陸太田市の山あいにある「山のcafe sasahara」。約60年前に建てられた日本家屋を改装、中は床や壁などに県産の木材がふんだんに使われ、温かい雰囲気を醸す。春めいてきた山里の風景を眺めていると、心の凝りがほぐれていくようだ。

相談支援事業所の山里舎が運営するカフェは就労継続支援B型事業所の顔を持つ。障害のある人がパソコン事務や木工、イラストなど得意分野を生かしながら働き、接客や配膳などにも携わる。サービス管理責任者の菊池真澄さん(36)は福祉関係の仕事が長く、「カフェは身近で心温まる場所。お客さまにとっても働く人にとっても居心地のよい場所を目指している」。代表理事を務める母の登茂子さん(66)は元特別支援学校教員で「おいしい食を通して、人とのつながりがある仕事を一緒にしたいと考えた」。

カフェを開いたのは、真澄さんが19歳のとき訪れたスウェーデンでの体験が大きい。友人とコーヒーを楽しむ電動車椅子の男性を見て、どんな人でも受け入れるカフェのかっこよさに感激。「このカフェのことがずっと心の根底にあった。辺ぴな場所でバリアフリーの建物ではないが、心の障壁は理解があれば取りのける」と空き家だった父の実家を改装。2019年に山里舎を設立、カフェを開く。

季節の野菜たっぷりで彩り豊かなランチは週替わりで、ご飯プレートと2種類のサンドイッチプレート。試行錯誤しながらレシピを作る。香辛料を使った料理が多く、取材に訪れた週のご飯プレートは、調合したスパイスを利かせたキーマカレーだった。メニューには自家栽培した同市産在来種の小豆「娘来た」のぜんざいも。コーヒーは日立市の専門店、和紅茶は大子町の茶園から仕入れる。

ランチのプレートは週替わり

 

席数に限りがあるため予約がお勧め。テークアウトできるので、風を感じながら外で過ごすのも悪くない。

真澄さんはSNS(会員制交流サイト)でカフェの情報だけでなく、里山の四季折々の風景も伝えている。「ここに来て『山笑う』の言葉の意味が分かった」。葉を落としていた木々が芽吹き始め、山が明るく色づいてくる。山里の春はこれからが本番だ。

■お出かけ情報
山のcafe sasahara
▼住所は常陸太田市西河内中町630の1
▼営業時間は午前11時~午後2時半(ラストオーダー同2時)
▼定休は日曜・月曜
▼(電)0294(78)0770

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