強いメッセージ 大作など16点 鹿沼の川上美術館 斉藤保雄さん版画展

下野新聞
2021年3月30日

 【鹿沼】青森県出身の版画家斉藤保雄(さいとうやすお)さん(1950~2017年)の回顧展が市川上澄生(かわかみすみお)美術館1階展示ホールで開かれている。4月4日まで。

 斉藤さんは美術団体に所属せず独学で木版画の制作を続け、1998年に同美術館の第4回木版画大賞で準大賞を受賞した。受賞後も同館と交流があったことから、今回初めて作品展を開催することになった。

 会場には、死についての根源的な問いや経済成長を優先して心のよりどころを失う社会の様子を表現した80年代~2009年の作品16点が並ぶ。大作も多く、原田敏行(はらだとしゆき)学芸員(39)は「版画もメディアの一つ。伝えたいメッセージが強かったので版も大きくなったのでは」と解説する。

 木版画大賞準大賞の「失われた光」(1998年、縦87センチ、横68センチ)は世相を伝える新聞や雑誌を散らして描くことで、社会がばらばらになっている様子を訴えているという。

 原田学芸員は「団体に属さず自分の作品を追求した豊かで力強い表現を楽しんでほしい」と話す。

 午前9時~午後5時。無料。(問)0289・62・8272。

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