後世に伝える手仕事の美 日下田藍染工房(益子)
昨春ふき替えたかやぶき屋根が、2月中旬の穏やかな日差しにまぶしく光る。江戸時代後期に建てられ、県指定文化財になっている日下田邸(染色工房併用)。当主で日下田紺屋(こうや)9代目の染織家日下田正(ひげたただし)さん(81)が「全面的にふき替えたので費用も大変でした」と苦笑した。
かつて県内に百数十軒あったという藍染め業の「紺屋」。時代とともに合成染料や化学染料に押され、現在は日下田さんを含め2軒のみという。染織家の故柳悦孝(やなぎよしたか)さんの下で修業し、先代で父の故日下田博(ひろし)さんを継いだ。博さんに続き2018年、県文化功労章を受章する。
民芸運動に取り組み、後に人間国宝となる陶芸家濱田庄司(はまだしょうじ)が戦前の昭和10年代初め、地元の職人の跡継ぎを集めて「益子を手仕事の町にしよう」と呼び掛けた。博さんは、そこに招かれた一人だったという。
日下田さんは今秋、集大成となる作品展を益子陶芸美術館で開催する予定だ。「手仕事に宿る美を追求しつつ、後継者も育てしっかり後世に伝えていきたい」
【メモ】益子町城内坂1。工房内で藍染めの財布やマスクなどを販売しているほか、工房北側のギャラリーでもストールやシャツを展示即売している。午前8時半~午後5時。月曜定休。(問)日下田さん方0285・72・3162。
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