栃木を発信 聖火ゴール 駆けた16市町 つないだ191人 コロナ禍、無事リレー 群馬へトーチ引き継ぎ

下野新聞
2021年3月30日

 東京五輪の本県聖火リレーは2日目の29日、県北・県央地区を中心とした8市町約19.1キロを99人のランナーが走り、県庁でフィナーレを迎えた。大会の機運醸成や本県の魅力発信と、新型コロナウイルスの感染拡大防止との間で揺れ続けた57年ぶりの一大イベント。28日からの2日間で16市町約35.7キロの栃木路を、191人のランナーは希望を信じて熱い思いでともしびをつないだ。聖火は群馬県へ引き継ぎ、最終目的地の東京を目指す。

 29日は晴天に恵まれ、お笑いコンビ「U字工事」の益子卓郎(ましこたくろう)さん(42)=大田原市出身=が、那須町芦野の遊行庵(あん)駐車場を午前9時1分にスタートした。続いてさくら市の早乙女桜並木や、那須塩原市のJR那須塩原駅前を通過。益子町では陶器市の会場となる城内坂を下り、壬生町では獨協医大のイチョウ並木を抜けた。

 世界遺産「日光の社寺」は、本県ルートのハイライト。日光二荒山神社拝殿前を出発し、日光東照宮陽明門前や日光山輪王寺三仏堂前でトーチキスを行った。鹿沼市ではロンドン五輪卓球女子団体銀メダリストの平野早矢香(ひらのさやか)さん(36)=同市出身=を伝統の彫刻屋台が出迎えた。

 県都・宇都宮の大通りは、東京五輪に出場する自転車ロードレース宇都宮ブリッツェンの増田成幸(ますだなりゆき)選手(37)が自転車で駆け抜けた。最終走者を務めたのは、バスケットボールB1宇都宮ブレックスの田臥勇太(たぶせゆうた)選手(40)。午後8時13分に県庁でゴールし、トーチから聖火皿に火を移した。

 聖火到着を祝うセレブレーションで、福田富一(ふくだとみかず)知事は「コロナ禍の中、支え合い、認め合い、高め合うことでつないだこの聖火の光が新しい時代のともしびとなり、県民や多くの人々の希望の道を照らし出してくれれば」と思いを述べた。

 29日は那須町内を走行予定だったランナー1人が欠席し、直後のランナーが2人分走った。新型コロナ対策として懸念されていた密集については、宇都宮市などで混雑したが、中断せずにゴールした。

 28日の足利市内で「密の状態が発生した」としていた大会組織委員会は、終了後のオンライン記者会見で「この日は運営や沿道に大きな問題はなかった。昨日の反省を生かし、密な状態を回避し、安全なリレーを実施できた」と総括した。

 聖火リレーの舞台は30日から群馬県に移る。全国を回った後、7月23日に東京都の新国立競技場で開かれる大会の開会式で、聖火台にともされる。

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