参拝形式に一工夫 茨城県内の神社 ネット祈祷や抗菌剤噴霧

茨城新聞
2020年12月29日

新型コロナウイルス感染症の影響で、県内の神社では、新年を直前に控え、例年とは異なる準備を進めている。祈祷(きとう)をインターネットで配信する「オンライン祈祷」や密になりやすい拝殿などで抗菌剤を噴霧するなど、各神社は参拝者のために新しい取り組みを行っている。

水戸市宮内町の吉田神社(滑川久美雄宮司)は、来年の正月から初めてインターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で「オンライン祈祷」の配信を始める。直接神社に行かなくても、スマートフォンやパソコンの画面上で祈祷を受けることができる。元日午前0時から行われる一番祈祷は、無料で公開される予定だ。

会社や団体などに関しては申し込み後、代表者だけが神社に来て、他の社員らは配信動画で祈祷を受けるか、全員がライブ配信上で祈祷を受けることの両方が可能。動画は限定公開で配信され、関係者しか見られないよう配慮する。

同神社によると、三が日には例年3万人が訪れるという。オンライン祈祷を企画した権禰宜(ごんねぎ)の滑川裕之さん(33)は「参拝方法の選択肢を増やし、時代に合った神社の在り方が問われていると思う」とオンラインで行う意義を強調した。

例年三が日に80万人が訪れる笠間市笠間の笠間稲荷神社(塙東男宮司)では24日、社務所や拝殿などの50カ所で、キノシールドと呼ばれる抗菌剤の噴霧作業が行われた。大規模なウイルス抗菌を行うのは初。

人が密になりやすい拝殿で抗菌剤の噴霧作業をする施工業者=笠間市笠間の笠間稲荷神社

施工業者によると、キノシールドによる抗菌は新型コロナだけでなく、インフルエンザ防止の効果もあるという。作業後は1年ほど効果が継続し、無臭で人にも無害。

同神社によると、参拝者は高齢者が多いことから、歩く際に利用する手すりなど、手作業では消毒が追い付かない場合も考え、外部の業者に依頼したという。

同神社は例年、笠間警察署による雑踏警備が行われるが、今年は感染対策のため、参拝者に距離を取ることを呼び掛けるなどの業務が増えることから、増員して警備を強化する予定だ。

権宮司の塙敬比古さん(33)は「目に見える安全だけでなく、目に見えない部分で消毒がされていることなどの安心が求められている」と話している。

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