人間国宝も愛した味  茶まんぢう 赤羽まんぢう本舗(益子) 

下野新聞
2022年9月14日

今月上旬の昼下がり、店内へ人間国宝の陶芸家濱田庄司(はまだしょうじ)の孫濱田友緒(はまだともお)さん(55)が入ってきた。名物「茶まんぢう」を購入した。友緒さんは「自然な味わいがいい。幼少期からなじみの味」と教えてくれた。

60年ほど前、3代目の赤羽福治(あかばねふくじ)さん(80)は多い日は一日に3度、益子町内の濱田家へ茶まんぢう計100個を届けていた。午前10時、午後3時、そして夕方。来客や庭師、大工、陶芸職人らに振る舞ったという。

人間国宝が愛した逸品は自家製あんが特徴。「2度ふかすから水分があんに入り、しっとりしている」と4代目の岳治(たけはる)さん(52)が説明する。食べると黒糖の上品な甘さが口中に広がり、次の一つを手に取りたくなる。価格も1個100円とリーズナブル。

1924(大正13)年創業。家族経営で自慢の味を守り続ける。作業開始は午前6時台。4、5月に開かれる「益子春の陶器市」開催期間中は、ピーク時に1日当たり千個ほど販売する。岳治さんは「リピーターがほとんど」と話す。

「まんじゅう皿」と呼ばれる濱田窯で焼かれた小皿がショーケースに並び、レトロな店内と相まって心を落ち着かせてくれる。

■メモ 益子町益子2910の2。午前8時~午後6時。月曜定休。(問)0285・72・3153。