全米歓評会で最高賞 来福酒造「特別純米 秀緑」 廃業酒造の味再現

茨城新聞
2021年12月10日

茨城県坂東市産米を100%使用した日本酒「特別純米 秀緑」が2021全米日本酒歓評会の純米部門でグランプリを受賞した。2011年に廃業した大塚酒造(同市岩井)の日本酒銘柄「秀緑」を17年に復活させたもので、製造は来福酒造(筑西市村田)が行っている。地域活性化の一助にしようと、坂東市内の酒販店6店だけで限定販売されてきた。発売4年目の快挙に、「久しぶりに明るい光が差した」と、コロナ禍の地元酒販店に喜びの声が広がっている。

全米日本酒歓評会は、01年から毎年開催されている日本国外で最も歴史の長い日本酒品評会。21年は9月21~23日に米ハワイ州ホノルル市で開催。出品総数は215の蔵元から計576点、うち金賞151点、銀賞152点が選出された。グランプリは4部門それぞれに与えられる最高賞だ。

「特別純米 秀緑」はアルコール度数16%、精米歩合60%。坂東市産のあきたこまち、美山錦を使用。来福酒造の藤村俊文社長(50)は「20~21年にかけて造ったものが評価された。旧酒造のレシピ、配合を生かし、当時の味を再現している」と説明した。

卸売り・小売りを行う古谷醤油(しょうゆ)酒店(坂東市岩井)の古谷純一社長(48)は「フルーティーで力強い味。冷やでもぬるかんでもおいしく飲める。リピーターが増え、女性や若い世代から好評を得ている」と特長を表現。「久しぶりに明るいニュースになった。酒米生産者も喜んでいる。坂東市産のコメのおいしさのPRにもつながれば」と喜びを表した。

旧酒造は、平成後だけでも全国新酒鑑評会で金賞を5回獲得するなど、酒造りが高く評価されていた。建物と敷地は市が買い取り、16年11月から市観光交流センター「秀緑」として再生されている。

1.8リットル入り2750円。問い合わせは古谷醤油酒店(電)0297(35)0062。

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