日光舞台の映画 来夏公開 社寺エリア 8日撮影開始 地元の視点で人情物語 AKB48武藤さんら出演 

下野新聞
2021年12月2日

 日光市を舞台にした映画「日光物語」の製作発表が1日、市役所で行われた。鹿沼箒(ほうき)が題材の映画「ほうきに願いを」を手掛けた五藤利弘(ごとうとしひろ)監督(53)=新潟県出身=が会長を務める製作実行委員会が企画した。「観光地としての側面ではない、人情味ある地元の視点で撮影したい」と五藤さん。新型コロナウイルス禍で見直されている人と人とのつながりや絆の大切さを伝える。8日にクランクインし、2022年夏に全国で公開される。

 日光物語は世界遺産「日光の社寺」が位置する山内エリアで「本宮(ほんぐう)カフェ」を経営する大場嘉門(おおばかもん)とその家族を中心に、地域の人々や日光を訪れる人たちが織りなす人間模様を描く人情物語。主人公は架空の人物だが、本宮カフェは実在する店だ。

 監督・脚本は、地域に根差した映画作りを続ける五藤さん。AKB48の武藤十夢(むとうとむ)さん(27)がヒロイン役、ミュージシャンで俳優のスネオヘアーさん(50)が大場嘉門役を務める。

 このほか、市在住の俳優伊藤克信(いとうかつのぶ)さん(63)、宇都宮市在住の和泉(いずみ)詩(うた)さん(16)などが出演する。

 日光山輪王寺や神橋、日光金谷ホテル、中禅寺湖周辺など全て日光市内でのロケとなり、年内には撮影が終了する。コロナ禍の影響を受ける文化芸術活動を支援する文化庁の補助金を製作費に充てる。

 実行委は粉川昭一(こなかわしょういち)市長が名誉会長、顧問に船田元(ふなだはじめ)衆院議員、上野通子(うえのみちこ)参院議員が就く。

 五藤さんは鹿沼市での撮影を機に「日光は世界的な観光地だが、地元の人の目線での映画やドラマはなかった。次は日光で」との思いがあったという。「昭和」を感じさせる映像を通じて「人のぬくもりや人情、情けなどの素晴らしさを思い起こしてもらえるものにしたい」と話した。

 武藤さんは「人のつながりを大事にして、見てくれる人がホッとするような映画にしたい」と語った。