《食いこ》製法受け継ぐところてん 野口蒟蒻(茨城県坂東市) 最高級の天草使用 

茨城新聞
2021年8月27日

ひんやりとした口当たりと、喉越しが心地良いところてん。夏の風物詩として親しまれ、日本の伝統食品としても定着している。

ところてんや生芋こんにゃくを製造、販売する茨城県坂東市の「野口蒟蒻」は、4代目代表の野口聡子さん(37)と父孝さん(69)、母英子さん(65)の3人で切り盛りする。手作りのところてんは腰があり、つるっと滑らか。原料の天草に最高級といわれる伊豆産を使用することで、絶妙な歯応えになるほか、香りが良く、透明感のあるきれいな色合いに仕上がるという。

伊豆天草で作るところてんは程よいこしが自慢

 

2代目代表だった祖父から受け継いだ独自製法を、現在も守り続ける。多くを語らない職人気質の祖父だったため、「作る様子を見ながらメモを取って学んだ」と野口さんは懐かしむ。

涼しげな見た目とは対照的に、ところてんにはじっくりと熱を加える工程が必要だ。「天草を煮る火加減の調整が難しい」と野口さん。洗った天草を開放釜に入れ、沸騰してから3~4時間。強すぎず、弱すぎない絶妙な火加減を保つため、釜に付きっきりで作業に当たるという。

煮た後はあくを取って水気を絞り、ステンレスの型に煮汁を流し込んで冷やし固める。突き出し棒で細長い麺状に突くと、ようやく店頭で見掛ける形状になる。手作業で一つ一つ計量し、パック詰めをして完成だ。

同店は1959年に曽祖父母が創業した。以後、3代にわたって店を守ってきたが、安価で大量生産される市販品との価格競争で利幅が低迷。2012年、惜しまれつつ廃業した。当時、店を手伝っていた野口さんは別の仕事に就いたが、「スーパーのこんにゃく売り場を見ては、もやもやした気持ちになった」。幼少期から継ぐと決めていた家業を諦め切れず、16年に店を再建。「お客さんの声や夫の後押しがありがたかった」と振り返る。

お勧めの食べ方は、ところてんにトマトやキュウリなどの野菜を添えたサラダ風。手軽に作れ、栄養も取れる。「なじみの薄い若者にも食べてもらえるようPRしていきたい」と意欲を示す野口さん。おいしさを広めるため、ところてんやこんにゃくを使ったアレンジレシピも考案中だ。

お出かけ情報
野口蒟蒻
▼住所は坂東市辺田1182
▼営業時間は午前9時~午後6時
▼定休は日曜、不定休
▼(電)0297(35)0648

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