愛らしい猫 浮世絵で 那珂川・広重美術館 女性と戯れ、曲芸を披露… 前期 歌川派など62点展示

下野新聞
2021年7月13日

 【那珂川】猫が登場する浮世絵を集めた夏季特別展「帰ってきた! 猫じゃ猫じゃ展」が、馬頭の町馬頭広重美術館で開かれている。2014年の同様の特別展が好評だったことを受け、内容を一新し再び企画。女性と戯れる猫、擬人化され曲芸を披露する猫など、猫の愛らしい姿をたっぷりと堪能できる。前期は25日まで。後期は29日~8月29日。

 前期の展示は歌川国芳(うたがわくによし)、国貞(くにさだ)、広重(ひろしげ)といった歌川派の代表格をはじめ、明治以降に活躍した高橋弘明(たかはしひろあき)ら多数の絵師による浮世絵62点と、全国各地の産地で制作された猫の人形20点を紹介する。

 国芳は自画像へ猫を常に描くほどの猫好きだったといい、今回は猫の好物「かつを」の文字を猫の姿でかたどった戯画や、猫のしぐさで踊る役者絵など幅広い分野の作品を展示した。

 猫の作品は多くないが、広重も猫を気に入っていたという。展示作「名所江戸百景 浅草田圃(たんぼ)酉(とり)の町詣(もうで)」は、吉原の遊郭の窓から「酉の市」に出向く人の列を描いた風景画の傑作とされ、窓辺に1匹の猫を描くことで、画面には描かれていない遊女の存在を想起させているという。

 女性の顔をなめようとじゃれつく姿や、かつお節を盗んで首根っこをつかまれる姿など、猫が描かれた美人画も数多く紹介。着せ替え、すごろく遊びなどのために作られた浮世絵の一種「おもちゃ絵」にも猫が頻繁に登場している。

 長井裕子(ながいひろこ)学芸員は「絵の面白さに集中してもらうため、今回は解説書きも控えめにした。多種多様な発想やイメージで描かれた猫たちの姿を無条件に楽しんでほしい」と話している。

 大人700円、高校・大学生400円。月曜休館。(問)同館0287・92・1199。

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