飛行場攻撃の動画初公開 【平和を考える】「うつのみやの戦災展」始まる 米軍機機銃掃射に焦点

下野新聞
2021年7月13日

 【宇都宮】宇都宮空襲の戦禍を伝える「うつのみやの戦災展」(市主催)が9日、本丸町の宇都宮城址(じょうし)公園清明館で始まった。米軍小型機による機銃掃射に焦点を当て、陸軍宇都宮飛行場などへの攻撃を撮影した動画も初めて公開している。

 宇都宮空襲は1945年7月12日深夜から13日未明にかけて、米軍のB29爆撃機115機が襲来し、死者は620人以上、負傷者は1128人以上に上った。空襲は12日以外にも行われ、多くの市民が犠牲になった。

 今回初公開された動画は約25秒。市教委の担当者が米国立公文書館の公開資料から見つけた。動画では現在の清原地区にあった宇都宮飛行場に向けて発射される様子などが写っている。米軍機の搭載カメラで撮影され、時期は飛行場周辺の状況から7月10日とみられる。

 画面には静止画やテロップによる説明文も加えた。会場には機銃掃射についての体験談も。20歳(当時)の女性は「当時言われていたことは、ニワトリ1羽動いても狙い撃ちする。防空壕(ごう)にじっと隠れているほかない」などとつづった。

 戦災展では記録保存事業で収集した写真や資料など約50点を展示。宇都宮空襲で市が発行した罹災(りさい)証明書も初めて公開されている。市教委の大塚雅之(おおつかまさゆき)さん(61)は「小型機は空襲警報が鳴る前に飛来し機銃掃射していたという。市民生活に与えた恐怖に迫れれば」と話している。戦災展は8月31日まで。午前9時~午後7時。入場無料。

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