《旬もの》新品種栽培に挑戦 神生バラ園(石岡市) 最適な環境で健康な花に

茨城新聞
2021年6月20日

すがすがしい五月晴れの中、田畑や果樹園に挟まれたのどかな道を進むと、「神生バラ園」(茨城県石岡市)のビニールハウスが見えてきた。同園の神生(かのう)潤一代表(39)は、土作りはもちろん、温度や湿度の管理、二酸化炭素濃度の調節など、さまざまな観点からバラにとって最適な環境づくりに力を入れる。「全てがそろって結果が出る」と神生さん。バラの様子を逐一確認しながら、不要な芽を取り除くなどして手をかけ、一日の大半をハウス内で過ごす。

同園は1974年に神生さんの父賢一さんが始め、2005年に後を継いだ。ビニールハウス4棟で20種類以上のバラを栽培。年間約50万本を市場や個人客向けに出荷する。同園のバラは、つぼみだったり、花が開いていたりと、品種の性質に合わせて剪定(せんてい)するため、「(花が)長持ちする」と顧客から好評だという。

神生さんは、新品種や珍しい品種の栽培にどんどん挑戦する。昨年春に発表された「ブルーグラビティ」もその一つ。生産者への苗の紹介や販売も担う同園では、先行して新品種を栽培し、花もちや生産性、病気にかかりやすいかどうか、といった特性を調べる。前例がない状態で育てるため、全てが手探りで試行錯誤の連続だという。それでも、これまでの経験を生かし、特性を見極める力はプロならでは。一見すると葉のような緑色の「グリーンローズ」など、古い品種で他の農園ではあまり見られないバラも育てる。

「いい意味で変わり続け、常に必要とされる存在でありたい」と神生さん。個人向けの販売を始めたのは、昨年4月。コロナ禍の影響でイベント中止が相次ぎ、業務用の花の需要が減ったことがきっかけだ。販路を開拓しようとオンラインストア「神生バラ園BASEshop」を立ち上げた。反響は大きく、昨年の個人向けの注文は400件以上と盛況。「いかに必要とされる存在かが分かった」(神生さん)。

インターネットで個人向けの販売も行っている

 

「健康で美しい花を育てる」ことをモットーに、常にチャレンジ精神を忘れずバラ作りに励む日々だ。

メモ
神生バラ園
▽住所は石岡市吉生3113
▽(電)0299(44)1539
▽神生バラ園BASEshop(https://kanobar aen.thebase.in)
▽同園では、出荷規格に満たないバラ20本をまとめ た「B品ミックス」(1650円)も園前で販売。(要 電話予約)

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