《旬もの》土作りこだわりアジサイ 佐藤花園(笠間市) 「母の日」前に5万5000鉢並ぶ

茨城新聞
2021年5月5日

カーネーションに代わって「母の日」に西洋アジサイを贈る人が増えている。茨城県笠間市の「佐藤花園」=佐藤又エ門さん(67)経営=の大小26棟のハウス計7590平方メートルには、9日の母の日を控え、5万5000鉢の花が並ぶ。アジサイは15センチから30センチの大鉢まで40種を栽培する。

歴史をひもとくとアジサイは日本が原産。江戸時代に欧州に持ち出され、アルカリ土壌の多い欧州ではピンクの花を咲かせて「東洋のバラ」として珍重された。品種改良されて大正時代、西洋アジサイとして日本にもたらされた。

アジサイ作りに取り組んで40年になる佐藤さんが、いちずに追求してきたのは土作り。落ち葉に鶏ふんとぬかを混ぜたものと、土に魚かす、ぬか、海草粉末、雑草を混ぜ込んものを発酵させ、それぞれを配合して1年ほど寝かせて自家製培養土を作る。手ずからの培養土は花を鮮やかに大きく、茎を太く、根の張りを強くする。大手花き流通会社がホームページで「佐藤花園から入荷しました」と指名紹介するゆえんだ。

人気の「ヒナマツリ」(左)と「スノーフレーク」

父親がコメ農家だった佐藤さんが、花の栽培を始めたのは46年前。高卒後、大学の園芸別科で学び、初めは洋ラン作りを考えたが、やがて花き全般の栽培を志す。県外の花き農家で花作りの腕を磨いて2年後、実家に戻り、ハウスではシクラメン、露地では観賞用トウガラシ、ケイトウ、ボサ菊栽培をスタートした。当時県内に花の専門家は少なく、試行錯誤を繰り返した。農家同士で知識や技術、情報交換を欠かさなかった。

種苗メーカーからポインセチアの新品種栽培を打診されたのをきっかけに、アジサイ以外の主力をポインセチアに切り替えた。新品種が出るたびに栽培機会があり、高付加価値の商品に成長した。プリンセチアの新品種栽培も手掛けるようになった。

今では大学で園芸を学んだ息子の健司さん(35)も家業を担う。佐藤さんが「花作りをやれと言ったことはない」ものの、小さい頃からハウスが遊び場だった健司さんにとって、父親の仕事を継ぐのは自然なことだった。

「草花相手の毎日は想像以上に大変。天候や気温、夏の猛暑、秋の台風、病気や害虫など1日として気を抜けない。毎年が勝負という気持ち」と健司さん。「佐藤花園オリジナルの商品を作る」のが目標だ。

メモ
佐藤花園
▽住所は笠間市南友部362
▽(電)0296(77)1434

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