「下館ラーメン」お土産にいかが 構想5年、老舗監修で商品化 筑西の栄進堂印刷

茨城新聞
2021年5月11日

茨城県筑西市のソウルフード「下館ラーメン」の持ち帰り用商品がお目見えした。官民連携による構想5年を経て、栄進堂印刷(同市甲)が初めて商品化にこぎ着けた。道の駅グランテラス筑西(同市川澄)の店頭で1日から、販売を始めた。永島直樹社長(42)は「もともとラーメンが大好き。地域貢献できないか考え続けてきた。地元のお土産品の一つに加えていただければ」と話している。

下館ラーメンは、親鶏のだしとチャーシューが使われ、時間がたっても伸びにくい「少加水麺」が用いられているのが特長。出前文化が育った商業都市という地域性、豚肉の代わりに鶏肉が使われた戦後の食糧事情などを背景に生まれた特色あるラーメンだ。現在、老舗「盛昭軒」(同市甲)など市内の飲食店十数店が提供している。地域のブランドに育てようと、下館商工会議所は2018年に「下館ラーメン」を商標として特許庁から認証を得た。

着想は約5年前にさかのぼる。市や筑波銀行、JTB関東、観光関係者らでつくる市観光資源調査発掘協議会(現・市観光振興推進協議会)が16年に発足し、土産として使える下館ラーメンの開発が議題に上った。

委員として参加した永島さんは当初、専門を生かしパッケージ見本を作成。1912(大正元)年創業の栄進堂印刷はこれまで、納豆やようかんなどのパッケージを手掛け、制作ノウハウがあった。だが肝心の商品化の担当者が決まらず、印刷業ながら初めて食品販売に乗り出す決意を固めた。

食品を扱うため、保健所から許可を得るなどの準備を経て、約3年前に正式に事業に着手。スープと製麺の業者の選定を進め、盛昭軒に監修を依頼して、味の修正を続けた。商工会議所から商標の協力も得た。「食品の賞味期限や安全の重要性を再認識させられた。顧客対応など不安はいっぱいある。ハードルを一つ一つ乗り越え、やっと発売にこぎ着けた」と永島さん。

1箱に4食分の生麺とスープが入り、価格は1080円(税込み)。賞味期限は製造後2カ月以上ある。半年間で2500箱以上を売り上げたい考えだ。

永島さんは「別途、地元産野菜の小松菜やネギ、鶏チャーシューを購入してもらう。地域の商品同士をつなげる『ハブ商品』として生かしてもらい、地元の魅力発信を強化できれば」と期待を込める。

今後、販売協力店も増やしたい考えだ。問い合わせは同社(電)0296(24)3456

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