鹿島神宮祭頭祭、地域の絆示す 溝口郷、9日開催へ準備
鹿島神宮(茨城県鹿嶋市宮中)の伝統行事「祭頭祭(さいとうさい)」を前に、祭りで中心的な役割を担う「当番字」の溝口郷(神栖市)が開催への準備を進めている。昨年は新型コロナウイルスの影響で、規模を縮小して一部の神事を実施。樫(かし)棒を組み鳴らす祭頭囃(さいとうばやし)や春季祭は延期された。このため、溝口郷は2年連続で当番字を務めることに。国の緊急事態宣言が続く中、参加者たちは開催を信じて前を向き、地域の絆を示す晴れ舞台に臨む。
「イヤーホエ、鹿島の豊竹トホヨトヤ」。神栖市溝口の集落センターに2月、祭頭歌と太鼓の音色が響いた。祭頭祭に向けた地区の住民らの練習会だ。
参加者が集まって動きを確認するのは、昨年2月に約200人が参加した「廻(まわ)り祭頭」以来、約1年ぶり。溝口郷の祭事委員長の仲内清治さん(70)は、「100パーセントの出来ではないが、盛り上がってきた」と目を細めた。
溝口郷は1941年以来、約80年ぶりに当番字となった。同年以降も2度指名されたが、金銭的な理由で辞退。今回も一度は辞退を決めたものの、地区内の人間関係が薄まりつつあることを危惧した有志約10人が奉仕役に名乗りを上げた。
呼び掛けに応じて参加者は次第に増加。練習などを通して地区内の交流は自然に増えていった。年配者からは「若い人の名前と顔が分かるようになった」との声も上がる。課題だった金銭面の負担も、企業の寄付や他地区の協力で軽減することができた。
コロナ下での開催となるが、仲内さんは「どういう形であれ、精いっぱい奉仕したい」と意気込んだ。
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今年の祭頭囃と春季祭は3月9日。子どもたちが参加しやすくなるよう、昨年から9日直後の土曜日に行う予定だったが、3密回避のため変更した。
祭頭囃は時間やルートを短縮。このほか、参加者の2週間分の検温記録の提出▽飲食を伴う会合の禁止▽役員や囃人(はやしびと)は常時マスク着用-などの対策を講じる。新型コロナの感染状況によっては変更や中止の可能性もある。
同神宮は「見学者の皆さまにも、マスク着用や消毒の徹底、社会的距離の確保などの対策をお願いしたい」としている。
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