快適なキャンプ場へ 給湯、トイレ整備補助 茨城県、衛生環境の改善支援
茨城県内キャンプ場への誘客促進につなげようと、県は老朽化が進む公営施設に対する改修支援に乗り出す。新型コロナウイルスの感染拡大で密集を避けた観光コンテンツとしてキャンプに注目が集まる中、各施設の給湯やトイレなど衛生環境の水準を上げるとともに利便性向上を進め、女性や家族層を中心にさらなる需要掘り起こしを狙う。
対象は市町村が開設・運営する公営キャンプ場。県内の約40施設のうち、約20施設への支援を想定している。主にトイレの暖房便座や温水洗浄便座のほか、洗い場の給湯やシャワールーム、授乳スペースなどの改修・新設に必要な費用を補助する。
補助の割合は工事費用の5割で、上限は300万円。来年1~3月上旬までに改修や新設を計画する施設を募集し、内容の審査を踏まえて4月から実際に整備費用の交付を始める計画だ。
県観光物産課によると、県内の多くの公営施設で老朽化が進んでおり、「設備の故障や洗い場でお湯の出る施設が少ないなど、利用者の満足度を上げる余地がまだ多くある」のが実情。県が進めているキャンプ場への誘客戦略にとっても利便性向上は不可欠で、特に女性や家族層の取り込みには衛生環境の改善は課題だ。
大洗町が1992年に開設した「大洗サンビーチキャンプ場」では、男女ごとにそれぞれ4カ所設置しているシャワールームのうち、各2カ所で故障中の状態が続いている。計8カ所の洗い場でも、給湯設備が整うのは2カ所に限られている。
運営するNPO法人「大洗海の大学」の光又新二さん(37)は「冬場に洗い場でお湯が出るのは大切。リピーターを増やしていくためにも、期待を裏切らない施設にする取り組みは必須」と、県の支援策を歓迎する。
同課によると、民間予約サイトが約1700人を対象に行ったアンケートでは、キャンプ場を選ぶ際に重要視するのは「トイレの清潔感」が最多の59%。ほかに「入浴施設がある」や「自宅からの距離」などが37%と高い割合を占めているという。
新型コロナの影響で、観光地への客足が落ち込む一方、3密を回避できるキャンプを中心としたアウトドアへの注目は高まっている。同課は「自然や食が豊かな茨城県は、キャンプ場への誘客条件が整っている。施設自体も『レベルが高い』といわれるような環境を整えていきたい」と話している。