小屋で味わう絶品中華 蒜黄鶏糸 天山(栃木)

下野新聞
2020年8月4日

 栃木市南部。幹線道路から少し外れ、脇道に入るとポツリと建つ小屋が見える。まさかここで本格中華が味わえるとは、容易には想像もつくまい。

 のれんをくぐると年季の入ったカウンター。厨房(ちゅうぼう)には中華鍋を振る店主。中華好きにはたまらない雰囲気。

 お薦めを聞くと、店主青木春夫(あおきはるお)さん(70)が「何がいいかね」と、冷蔵庫をのぞいた。この日の一押しは、ニンニクの芽と細切り鶏肉をしょうゆベースの味付けで炒める「蒜黄鶏糸(ソンミョチースー)」だった。調理中、「辛くするかい」と青木さん。辛党にとってはありがたいひと声。その日に入荷した野菜を勧め、客によって味付けを変える。「臨機応変さ」がモットーだ。

天山の外観。開店時には中華の香ばしい匂いが外まで漂う
 もちろん味は絶品だ。野菜のシャキシャキ感と鶏肉のジューシーさが口の中で絡み合う。下味を付けた鶏肉を卵黄でもむなど、丁寧な仕込みのたまものだ。18歳で中華の世界に飛び込み、50年以上も磨いた大ベテランの腕は間違いない。

 店内には著名人のサインがずらりと並ぶ。小屋のような特徴的な店構えに対して、本格中華を味わえるギャップが多くの胃袋をつかむのだろう。「(この店構えでは)俺だったら入らないけどね」といたずらっぽく笑った。

 【メモ】栃木市岩舟町静戸1647の2。午前11時半~午後2時、午後5時~午後9時半(土日祝は8時半)。水曜定休。(問)0282・55・1923。

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