ワカサギ釣り「涙の解禁」 赤城大沼・暖冬で10日遅れ

上毛新聞
2020年1月24日

 赤城山の冬の風物詩、氷上ワカサギ釣りが22日、赤城大沼(前橋市富士見町)で始まった。暖冬の影響で例年よりも10日ほど遅れての解禁となった。実施が危ぶまれただけに、地元の観光関係者は「涙の解禁だ」と喜んだ。解禁を待ちわびた愛好家約350人は銀世界の中、穴に糸を垂らして楽しんだ。

 午前7時、氷点下10度を下回った赤城大沼には、平日にもかかわらず大勢のファンが列を作った。解禁されると、氷結した湖面に風よけテントを張って静かに当たりを待った。

 解禁されたのは湖東部(大洞地区)と西部(沼尻地区)。愛好家は釣ったワカサギを見つめ、「ずいぶんかわいいね」「今年は大きい」などと笑顔で言葉を交わした。毎年来ているという前橋市金丸町の小林昭次さん(68)は「今年はできないかと思っていた。一年のうちで最も楽しみ」。千葉市から友人と訪れた大学生の小井田那親さん(22)は「景色が良く、2年前から来ている。こういう時間が幸せ」とし、3時間で15匹ほどを釣り上げた。

 地元からは安堵(あんど)の声が聞かれた。湖畔の「青木旅館」の青木猛さん(56)は「ここまで氷が張らなかったことは過去になく、異常だった。涙の解禁だ」と振り返った。3日に結氷したが、19日まで氷の厚さが解禁目安の15センチという基準に達しなかった。湖の中央付近は間もなく解禁予定という。