《いばらき御朱印めぐり》武道の神、格式高く 鹿嶋・鹿島神宮
■修復の奥宮、古色蒼然
全国にある鹿島神社の総本社、茨城県鹿嶋市の鹿島神宮(鹿島則良(のりよし)宮司)である。日本建国・武道の神さま「武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)」を祭神とし、創建は神武元年、紀元前660年と伝わる。国宝やあまたの国、県、市指定の文化財を有し、千葉県香取市の香取神宮、神栖市の息栖神社とともに東国三社の一角を占める。歴代天皇が元日に天の神と地の神を拝む儀式「四方拝」で遥拝(ようはい)する一社でもある。
歴史も格式も全国有数の神社だけに、いささか緊張気味の記者を若き神職、岡澤稔さん(24)が出迎えてくれた。岡澤さんの案内で境内を巡る。
「境内は約70ヘクタール、東京ドーム15個分の広さがあって、半分以上は樹叢(じゅそう)に覆われています。楼門は水戸藩初代藩主・徳川頼房が奉納したもの。4棟からなる社殿は、2代将軍・徳川秀忠の寄進になります」と順に説明してくれた。いずれも国指定の重要文化財である。
森閑とした奥参道を進むと途中に鹿園があった。「神の遣いとして大切に飼われています」と岡澤さん。さらに行くと、工事用の足場に覆われていたが、古色蒼然(こしょくそうぜん)とした奥宮が姿を現した。徳川家康が関ケ原の戦いに勝ち、現在の本殿の位置に本宮として奉納したものを、その後新たな社殿を建てるため、現在地に移した。現在修復中で、3月末の完工予定だ。
そこから奥へと進むと、地震を起こすナマズの頭を押さえていると伝わる要石があった。他にも日量40万リットルの清水が湧き出る御手洗(みたらし)池、社殿の裏手にあるご神木などなど、見どころは枚挙にいとまなく、それだけで紙幅が尽きてしまう。
ところで肝心の同神宮の御朱印だが「鹿島神宮」と「奥之宮」の2種類がある。御朱印帳は楼門、ワシ、藤の花2種類の他、鹿島アントラーズとの共作、歌手の相川七瀬さんデザインのものも。
同神宮を訪ねたのは週日の午後だったが、御朱印を求める人の姿が目立った。現在は落ち着きを取り戻しているが、平成から令和にかけての数日間は大変だった。同神宮の天海尉之(あまがいやすゆき)禰宜(ねぎ)によると「御代替わり前後には大鳥居の外まで約200メートルの行列ができた。時間を延長し整理券を配ったほど。それでも3、4時間待ちだった」と振り返る。
ブームとも言える御朱印目当ての寺社巡りに関して、「趣味で御朱印を集めるだけではなく、お参りをきっかけに神社に親しみ、理解を深めてもらえれば」と受け止めている。(第1土曜日掲載)
■メモ
アクセス…鹿島線鹿島神宮駅から徒歩約10分。車では鹿嶋市内の国道51号を南進、県道18号を鹿島神宮駅方向へ左折して鹿島神宮入り口交差点を左折。
住所…鹿嶋市宮中2306の1
電話…0299(82)1209
御朱印…初穂料500円。御朱印帳は6種類で、御朱印が付いて1冊2000~3000円。受け付けは午前8時半~午後4時半。