絹本著色十六羅漢像、最新技術で忠実再現 茨城・龍ケ崎 複製を一般公開 24日まで

茨城新聞
2021年10月16日

国指定重要文化財の掛け軸「絹本著色十六羅漢像(けんぽんちゃくしょくじゅうろくらかんぞう)」(全16幅)の複製が、茨城県龍ケ崎市馴馬町の市歴史民俗資料館で公開されている。実物は、保存の観点から常設展示がされておらず、市民に広く見てもらおうと、市教育委員会が約2千万円を投じてレプリカを制作。最新のデジタル技術でオリジナルを忠実に再現した。24日まで。

市教委によると、十六羅漢像は市内の金龍寺が所蔵し、県立歴史館に寄託されている。寺伝に基づくと、曹洞宗の開祖・道元(1200~53年)が中国で修行を積んで帰国する際、南宋の皇帝から贈られた。その後は、鎌倉幕府の執権・北条氏の手に渡り、幕府を滅ぼした新田義貞(1301~38年)によって金龍寺に納められたといわれる。「羅漢」という高僧が描かれ、衣装などに精密な模様が施されている点に特色がある。

画風などから、実際は14世紀前半の制作と推定されるという。1917年に国指定重要文化財となった。傷むのを防ぐため通常は公開されておらず、見られる機会は限られていた。

市教委では、都内の企業に委託し、2017年度から複製の制作を始めた。専用のスキャナーで現物を読み取り、プリンターで絹地に印刷。職人が実物と見比べながら色を加えるなどし、精巧なつくりに仕上げたという。全16幅を一挙に公開している。当初は7月末から8月下旬の展示を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、8月5日までの短期間で終わっていた経緯がある。

市教委担当者は「今後も年に1回程度の展示を考えている。市の貴重な文化財を見てほしい」と語った。

市歴史民俗資料館は入場無料で月曜休館。各日午前9時から午後5時まで。

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