十六羅漢像の複製公開 茨城・龍ケ崎 写実的な描写、忠実再現
茨城県龍ケ崎市内の寺が所有する国指定重要文化財の掛け軸「絹本著色十六羅漢像(けんぽんちゃくしょくじゅうろくらかんぞう)」の複製が、同市馴馬町の市歴史民俗資料館で公開されている。実物は常設展示されておらず、市教育委員会では広く見てもらおうと精巧なレプリカを制作。写実的な描写の実物を忠実に再現した。9月4日まで。
市教委によると、十六羅漢像は市内の金龍寺が所蔵する。伝承では、曹洞宗の開祖・道元が中国で修行を積んで帰国する際、南宋の皇帝から贈られ、鎌倉の建長寺を経て鎌倉幕府の執権・北条氏に渡った。その後は、幕府を倒した新田義貞によって金龍寺に納められたとされる。
羅漢像は全16幅。1幅に1人ずつ、悟りを得た高僧を指す羅漢(阿羅漢)が描かれている。衣装などに精密な模様が施されている点に特色がある。
画風から、実際には鎌倉時代後期-南北朝時代前期の日本で作られたと推定される。1917年に国指定重要文化財となり、現在は水戸市の県立歴史館に寄託。劣化防止のため一般公開されていないという。
龍ケ崎市教委は、羅漢像を目にする機会がごく限られている現状を踏まえ、2017年度から20年度にかけて、専門の業者に委託して複製の制作を進めた。実物をスキャナーで読み取り、絹の布に印刷。職人が手作業で色を補ったといい、市歴史民俗資料館の担当者は「細部にまでこだわっており、荘厳な雰囲気を感じてほしい」と説明している。
入館無料。月曜休み。各日午前9時~午後5時。21日と28日には、職員による解説がある。問い合わせは同館(電)0297(64)6227。