料理に合わせ、多彩な米 大嶋農場(筑西市) 可能性伝える
筑波山を望む筑西市の田んぼで、農業生産法人「大嶋農場」社長の大嶋康司さん(61)がコンバインを操り、黄金色の穂を刈り取っていく。約27ヘクタールに「ミルキークイーン」など50品種を超える米を栽培しており、9月から10月半ばまで稲刈りに忙しい。
大嶋さんは「日本では和洋中、いろいろな国の料理が家庭で出される。米も料理に合わせて変えてみては」と多彩な米の魅力を提案する。
ミルキークイーンは「もちもちして甘味があり、冷めてもおいしい」。インディカ米の風味と日本の短粒種の甘味を併せ持つ「華麗米」はパラパラして、カレーやチャーハンに合う。酢によくなじむすし米や、大粒で味がよく染み込むリゾット米も販売する。赤米や黒米などの古代米、タンパク質の摂取を制限される腎臓病患者向けに開発された米なども手掛ける。
同農場は大嶋さん夫妻と20、30代のスタッフ3人が米の生産から精米、販売までを一貫体制で行っている。「百笑米」がブランド名。自家製米で酒や酢、みそ、こうじなどの加工も行う。
米の消費が冷え込む中、米の多様な可能性を伝え、稲作を守るために奮闘する。「食の安全が大前提」と、農薬も化学肥料も使わないJAS(日本農林規格)認証の有機栽培と、できる限り農薬や化学肥料を使わない県認証の特別栽培に限っている。
「1994年ごろから米価が下がり始め、米の差別化を図った。全国の農家がライバル」と量よりも味と質にこだわった独自の取り組みで稲を育てる。カキ殻やにがり、もみ殻、米ぬか、糖蜜などで土作り。収穫前にミネラル成分を含む沖縄県産の天然塩などを散布する。
ほとんどの米は、農業・食品産業技術総合研究機構と利用権許諾契約を交わし原種から栽培。農家の要望に合った種子の生産販売も行う。そのため、稲刈り後は品種が変わるごとにコンバインや乾燥機などの機械を5、6時間かけて1粒も残らないように徹底的に清掃する。
代々続く農家に生まれた大嶋さんは東京農業大学卒業後に就農。2000年に法人化した。担い手育成のために若いスタッフを受け入れるようになったのもその頃だ。来年で米作り40年。「今年が39作目の米。1年に1度しか収穫できない」と日々米作りに励んでいる。
■メモ
大嶋農場
▽住所は筑西市桑山3327の1
▽定休は日曜
▽(電)0296(57)3774
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