看板ラムネ 姿消す 23年にも足利「マルキヨー」 瓶供給見通せず コロナ禍で決断

下野新聞
2021年12月13日

 北関東で唯一ラムネを製造している飲料メーカー「マルキヨー」(足利市島田町)が2023年にも看板商品のラムネ製造を休止する方針であることが、11日分かった。瓶メーカーがラムネ瓶の製造を中止することが要因。書き入れ時のイベントや夏祭りの中止をもたらした新型コロナウイルス禍も決断を促した。資材が尽き次第、製造を休止する予定で、夏の風物詩が一つ姿を消す。

 同社は1951年創業。78年にラムネ製造を始め、最盛期の95年には年間200万本を売り上げ「ラムネのマルキヨー」と言われるまでになった。しかし軽くて持ち運びできるペットボトルの普及などにより売り上げは減少。コロナ禍前には年間15万本だったが、今年は10万本ほどとなった。

 瓶メーカーから製造中止を伝えられたのは11月末。2022年製造分の瓶10万本は確保できる見通しとなり、来年1月末に入荷する。しかし、瓶の組立工場は閉鎖したため、瓶、ビー玉、キャップ、パッキンは同社内で組み立てるという。

 その後の供給の見通しは不透明で、既に大口の取引先には卸売りの中止を伝えた。増子敬公(ますこよしひろ)社長(71)は「ラムネはもともと絶滅危惧飲料だが、あと5年は大丈夫だと思って、環境負荷が最も少ない透明のリサイクル瓶を導入するなど、先駆的な取り組みも続けてきた。今はワインやシロップが経営の柱だが、『ラムネのマルキヨー』の看板商品がなくなるのは寂しい」と話している。

 全国清涼飲料連合会によると、コロナ禍前の2019年12月、全国ラムネ協会加盟社は37社あったが、今年11月末には同社を含め34社に減った。

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