《食いこ》全メニュー手作り くれよんカフェ(水戸市) 気軽に立ち寄れる空間に

茨城新聞
2021年8月7日

黄色と赤茶の外壁を引き立てるように、ヒマワリやラベンダーなど季節の花々が咲き誇る。水戸市の「くれよんカフェ」は、障害者支援施設「くれよん工房」=統括施設長、武田由美さん(67)=が運営する飲食店。客を出迎える花壇の花は、施設利用者の親たちがボランティアで植え替え、職員と一緒になって大切に育てている。

手入れの行き届いた花々に囲まれた外観

 

カフェは昨年6月にオープンし、今年で2年目。同施設の利用者と地域の人が交流できる場として開設された。施設長の相馬由佳さん(50)は「障害の有無にかかわらず、地域社会でともに生きる。カフェはそれを実現するために必要だった」と語る。

コロナ禍での開店には「ギリギリまで悩んだ」と打ち明ける。だが、利用者の働く場所や仕事がなくなってしまうことも気掛かりだった。そんな相馬さんの背中を押したのは、利用者の明るく前向きな「やりたい」の声。座席数を減らしてパーティションを設置したり、消毒を徹底したりした上で、念願のオープンに踏み切った。

店で提供するメニューは、ドレッシングに至るまで全て手作り。ランチメニューのカレーやパスタのほか、ジュースやケーキなど計約40種類ある。利用者が野菜の皮むきなどを担い、職員が調理する。おすすめは、約3時間かけてじっくり煮込んだ「2種類カレー」(1000円)。牛肉とタマネギの甘口カレーと、野菜と豆だけを使ったやや辛口カレーが一度に楽しめる。

接客は、利用者がそれぞれできる範囲で行う。水出しと席案内を担当する安藤理香さん(18)は「あいさつなど、大きな声を出すことにまだ慣れていない」とやや緊張ぎみ。同じく接客で会計などを担当する渡辺匡哉さん(31)は「笑顔を心掛けて頑張っている。接客の仕事は楽しい」と話した。相馬さんは「利用者さんは段階を踏んで少しずつ、できることが増えてきている」と目を細める。

誰もが気軽に立ち寄れるように、カフェ内はバリアフリー。車椅子やベビーカーでの利用者や、お年寄りもゆっくりと食事やお茶を楽しむことができる。利用者の働く場と同時に、地域の憩いの場となることを目指し、職員と利用者が手を携え、皆に愛される店づくりに励む。

お出かけ情報
くれよんカフェ
▼住所は水戸市元吉田町1873の8
▼営業時間は午前10時~午後4時半
▼定休は日曜、祝日
▼(電)029(247)9040
▼インスタグラムのアカウント「くれよん工房(@kureyon_koubou)」

地図を開く 近くのニュース