基本メニューたっぷり 【県南グルメ探訪】佐野 盛り合わせ寿司 ふみきり寿司

下野新聞
2020年4月13日

 両毛経済界の熱い要望を受け、両毛鉄道(現JR両毛線)が開業したのは1888(明治21)年。その11年前、線路沿いの場所に創業したいなりずし店は、開通とともに地元住民から「踏切さん」と親しまれるようになったという。

 「当時の屋号は初代店主の名を取り『矢島寿司(ずし)』だったのですが、お客さまの声から屋号を変更したと聞いています」。5代目店主の福田康宏(ふくだやすひろ)さん(39)が説明する。

 提供するのは「いなり」「のり巻き」「玉子(たまご)」のみ。看板メニューのいなりは、地元豆腐店から取り寄せる厚めの油揚げを、継ぎ足しながら使い続ける秘伝のたれで煮込む。濃いめの味付けが創業以来の伝統だ。

 店のお薦めは、2種類のいなりをはじめ、基本的なメニューをすべて楽しめる「盛り合わせ折詰(10)」(990円)。用途に応じたさまざまなセットがあり、子どものころから運動会や法事用の弁当として親しんでいる常連客も多い。

 「佐野を離れた人がこちらに戻った時、うちの味を懐かしいと思っていただけるのがうれしい」と福田さん。「これからも地元の人に喜んでもらうため、伝統を守り、新しい味にも挑戦したい」と意欲をみせる。

■メモ 佐野市若松町634。午前8時~午後6時(売り切れ次第終了)。水曜定休。(問)0283・22・0603。

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