温泉水でトラフグ養殖 北茨城の旅館、来春提供へ

茨城新聞
2018年9月12日

北茨城市平潟町の旅館「あんこうの宿 まるみつ旅館」(武子能久社長)が、県内で初めてトラフグの養殖に取り組んでいる。茨城県を代表する冬の鍋料理として全国区の知名度を持つ「あんこう鍋」に加え、客足が鈍る春、夏も宿泊客らが喜ぶ料理を提供することで、年間を通して足を運んでもらうのが狙い。来春には提供する予定だ。

同旅館は2015年10月、「あんこう研究所」を立ち上げ、アンコウを使った新たなレシピ作りに取り組んできた。その中で「アン肝とフグを掛け合わせた新しい食べ方を提案できるのでは」と考え、フグの中でも最も高級なトラフグに着目した。

フグ料理の本場、山口県下関市を訪れ、養殖を成功させた栃木県内の企業などを視察。準備を進め、今年2月に養殖施設を立ち上げた。施設は長さ約35メートル、幅約7メートルのビニールハウス内に、直径約4メートルの円柱形の水槽が六つ。このうち養殖用の一部にトラフグが泳ぐ。施設は最大2千匹を養殖できるが、今回は約500匹を、一部温泉を入れた人工海水に入れて試験的に取り組んでいる。武子社長(42)は「温泉の割合など試行的だが、(寄生虫の)アニサキスなどがないクリーンな魚を提供できる」と養殖のメリットを話す。

温泉を利用したトラフグ養殖は栃木県那珂川町で事業が進み、海水を使わないため毒がたまらず、肝が食べられる可能性があるとして注目されている。

養殖にかかる作業は、1日4回の餌やりをはじめ、水質検査や塩分濃度調整、水温管理など。最も大変なのは出荷までに3、4回は行うという歯の切断だ。フグが傷つけ合わないようにするために行うが、武子社長は「1匹ずつ手作業なので大変」と苦笑する。

スタッフも作業に慣れ、今夏の酷暑を乗り越えられたことで、養殖は順調に進んでいるという。同旅館は来年4月ごろにはアンコウとトラフグのセット料理を提供できるといい、市のふるさと納税の返礼品に加えてもらうおうと期待する。「常磐温泉とらふぐ」と称して、来春には県内外の観光客向けに発信する考え。

武子社長は「地元のアン肝文化を取り入れた北茨城独自の食べ方を提供したい。『東のアンコウ、西のフグ』といわれるほどの高級魚の両方を味わえるまちにしたい」と意気込む。 

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