《旬もの》武井れんこん農園(土浦市) 全国においしさを届ける

茨城新聞
2018年10月21日

出荷量、栽培面積ともに全国一を誇る本県のレンコン。レンコン畑が一面に広がる霞ケ浦周辺、土浦市にある「武井れんこん農園」の作業場兼直売所では、収穫したてを洗浄し、箱詰めする出荷作業に追われていた。

代表の武井利明さん(67)はレンコン栽培歴約50年。「レンコンはまだまだ食べず嫌いの人も多い。特産品を贈答に使ってもらい、全国においしさを届け、ファンを増やしたい。それがうちのポリシー」と意気込む。

同園は同市とかすみがうら市に約5ヘクタールを栽培する。栽培法のこだわりは「農薬はできるだけ使わない。化学肥料は使わない」。米ぬかを中心に魚粉、糖蜜などが肥料。「肥料を餌に、有用な微生物菌の働きで健康な土作りを行う。レンコンの味や安全性について、客の期待に応え続けるため努力している」
◇ 冬のイメージが強いレンコンだが、同園の収穫は8月上旬から翌年の5月まで約10カ月続く。穴が空いた形状で、「先が見通せる」という意味からおせち料理に欠かせない縁起の良い食材。歳暮などの贈答品や正月向けの需要がある12月が最盛期だが、4、5月も収穫・出荷の傍ら、施肥や整地、植え付けなどを行うため忙しくなるという。

同園の収穫は2人一組で行う。泥田に漬かりながら、1人が水圧で掘り取り、もう1人が放射状に伸びる根を切っていく。土の中にあるレンコンを傷つけないように注意を払いながら掘る作業は、はたから見ても大変そうだ。武井さんは「ハス掘りは無心。見えないレンコンを掘るというより水面に移動させるようにする」と収穫のこつを話す。
◇ レンコンはステーキやれんこん餅、天ぷらなど焼いたりすり下ろしたり揚げたりと、さまざまな食べ方が楽しめるのも魅力。同園では、10月はチップス、11月から2月まではスープなど季節に合わせた試食を出す。

直売のほか、県内の百貨店や都内の高級スーパー、飲食店などの注文に応える。10月から3月まで毎月、定期購入の会員に発送する。武井さんは「お客さまが『おいしい』と笑顔になってくれるのが励み」と表情を緩めた。

■メモ
武井れんこん農園
▽住所は土浦市田村町708
▽定休は土曜。(直売所は6、7月休業)
▽(電)029(804)0485、ファクス029(804)0486

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