世界湖沼会議閉幕 霞ケ浦宣言、世界へ発信 自然の恵み、継承誓う

茨城新聞
2018年10月20日

霞ケ浦などの湖沼を取り巻く問題について議論する「第17回世界湖沼会議」は19日、つくば市竹園のつくば国際会議場で総括会議と閉会式が開かれ、5日間の日程に幕を下ろした。会議の成果を盛り込んだ「いばらき霞ケ浦宣言2018」が発表され、水や食料などの湖沼の恩恵をバランスよく享受し未来への継承を誓うとともに、湖沼の抱える課題解決への考え方を世界に向けて発信した。

宣言は前文と本文2項目で構成。前文は、世界の湖沼の現状について「汚濁負荷の増加や気候変動などにより、水質悪化だけでなく生物多様性も損なわれている」と指摘。その上で、魚や食料、歴史や文化など湖沼から得られる恵みを「将来的に持続的に享受できるよう、英知を結集しなければならない」と訴えた。

本文は、湖沼の恵みを「衡平に享受」し「次世代に引き継ぐ」ことを目指す2項目で構成。

「衡平に享受」の項目は、流域住民や農林漁業者などの関係者が生活する上で環境に与える負荷を理解し、行政や研究者などと連携関係を構築、強化することの重要性を指摘した。

「次世代に引き継ぐ」の項目は、湖沼環境に関する情報や課題を整理し、関係者らが湖沼の未来像について共有し議論する重要性を訴えた。同時に「今会議で得られた知見や技術を基に、自然環境の回復に努める必要がある」と指摘。また14日開催の学生会議の内容を踏まえ「子どもたちの思い描く未来や現代への警鐘に耳を傾けなければならない」とした。

閉会式は約500人が参加、実行委員会長の大井川和彦知事が「一過性のイベントではなく、今会議を契機に湖沼を巡る課題を一人一人が自らの問題として認識、改善に向けて取り組むことが重要」とあいさつ。その後、県県民生活環境部の斎藤章部長が宣言を読み上げた。

最後に国際湖沼環境委員会の竹本和彦理事長が「湖沼を巡る課題の解決に向け、あらゆる努力を結集しなければならない」と閉式の辞を述べ、拍手で幕を閉じた。

今会議は50の国と地域から研究者や行政・企業関係者、市民ら延べ約5500人が参加し、湖沼や水に関わる環境問題の解決に向けて多様な視点から意見を交わした。会期中は政策フォーラムや分科会、視察会など多彩なプログラムが実施された。

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