《食いこ》 和食 つじ山(土浦市) 趣向凝らした料理堪能

茨城新聞
2017年7月9日

土浦市の「和食 つじ山」は築約150年とされる武家屋敷で、裏山を借景に庭を眺めながら趣向を凝らした料理をゆっくり楽しめる。住宅地の中、時代劇を思わせる塀の奥にかやぶき屋根の建物がある。

土浦藩の藩家老で明治時代に地元銀行を創設した一色範疇の居宅。一色家住宅主屋として国の登録有形文化財に指定されている。

代表の辻保磨さん(62)は料理人歴約40年。サントリーのレストラン部門で腕を磨いた。横浜市内の日本料理店で修業。つくば市内の和食店の料理長も務めた。日本料理専門調理師などの資格を持つ腕前。妻の玉枝さん(62)が「食事をしながら心地よい時間を過ごしてほしい」ともてなす。

2人とも都会育ち。玉枝さんによれば、保磨さんが自然の豊かなこの場所を気に入って、2010年にオープンした。四季折々の庭が楽しめ、池にはカワセミなどの野鳥がやって来るという。

保磨さんが一人でドレッシングからデザートまで全て手掛ける。毎朝作る人気の「自家製豆(とう)富(ふ)」は県産大豆「ハタユタカ」を使った濃厚な味わい。大粒の岩塩で食べる。

ランチタイムの一番人気は刺し身や焼き物など品数豊富な「もみじ御膳(ごぜん)」。季節や日によって内容が変わり、多彩で遊び心あふれる。取材当日は山芋やホウレンソウで作った「青梅もどき」や焼きナスのごま寄せなど。ある野菜で作ったウナギのかば焼き風は皮や焦げ目まで本物そっくり。刺し身に飾り切りの大根やキュウリが添えられる。細部にまで手並みがさえる。「人に話したくなるような、よそにはない料理を作り、驚いて帰ってほしい」と保磨さん。「サプライズ」もごちそう。

客が来てから作るのが基本のため「お待たせしてしまうこともある」と玉枝さん。

看護師だった玉枝さんは「食べる姿勢が正しくなるように。高齢の方に食べやすく誤嚥(ごえん)しにくい」と、畳の部屋に低い椅子とテーブルを置いた。いろりがある部屋は和の風情たっぷり。

祝い事や会合などで貸し切りの場合もあり、店では予約を勧めている。

■お出かけ情報
和食 つじ山
▼住所は土浦市西真鍋町10の4
▼営業時間は午前11時半~午後2時、夜は予約で同5時半~同9時(ラストオーダー)
▼定休は月曜
▼(電)029(824)7728

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