日立製の昭和家電募る 「貴重な歴史の証人」 市郷土博物館が展示 茨城

茨城県日立市宮田町の市郷土博物館が、日立製作所で製造された主に昭和時代の家電製品を収集している。市内には多賀事業所をはじめ同社の主要な工場があり、市民にとってもなじみが深い。同館は初期型の「撹拌(かくはん)式洗濯機」をはじめ、生活に身近な約20点の製品を展示。「古い家電品は貴重な歴史の証人」として、市民などから寄贈を募るなどして、さらに収集を進め、〝コレクション〟を充実したい考えだ。
同館は2階展示室の一角に、昭和の暮らしとして日立製の家電品を並べたコーナーを設けている。
製造年は昭和10~30年代が中心。高度経済成長期にブームを起こした「三種の神器」のテレビ、冷蔵庫、洗濯機などを並べた。1958(昭和33)年の洗濯機は回転羽根が付いており、衣類の水分を絞る手動のローラーがある。同年製電気冷蔵庫は陶芸家の浜田庄司宅で使われていたという逸話が残る。63年製ブラウン管白黒テレビは「1964 TOKYO」と東京五輪の記念マークがある。

日立製作所製の電話機やラジオなどの製品=日立市宮田町
このほか、電話機や扇風機、電気釜、録音機、ビデオデッキ、ラジカセ、アイロンといった製品が展示されている。
同社は日立市の日立鉱山の工具や機械のものづくり部門を発祥とし、同市をはじめ県内各地に多数の工場を構える。家電品は戦前から多賀工場などで製造されてきた。市内には日立家電正規取扱店が軒を連ねた。
同館は2021年の日立シビックセンター科学館の改装に合わせ、保存されていた家電品を同センターから移管したのを機に、コーナーでの展示を始めた。市民や同社からの寄贈のほか、ネットオークションで落札した製品もある。ただ一部の製品は状態が悪く、展示に適さないという。
同館は足付きブラウン管テレビや初期型掃除機、真空管ラジオ、ステレオのような製品の情報を求めている。同館の大森潤也学芸員は「昭和時代の家電品は記憶に新しく、衣食住に必要なものとして使われてきた。時代の移り変わりに思いをはせる格好の資料として展示していきたい」と話している。問い合わせは同館(電)0294(23)3231。