漆芸家・角田さんしのぶ 普及尽力、大子で遺作展 茨城

大子漆工芸くらぶの講師を務め、2023年急逝した漆芸家、角田(つのだ)純一さん(福島県北塩原村)の遺作展が、茨城県大子町大子のドレメ美術館で開かれている。
角田さんは福島県会津若松市生まれ。祖父、父とも漆芸家の家に育ち、27歳で日本現代工芸美術展に初入選以来12回入選し、2013年には現代工芸本会員賞を受賞。日展には28歳で初入選し、21回入選するなど多数の受賞歴があった。水戸や仙台、同県郡山市のほか台湾で個展や展覧会に出品した。大子町で実施している同くらぶの「摺(すり)漆実技講習会」では6年間講師を務め、県内外の愛好家に技を教え、大子漆の魅力と漆工芸の普及に努めた。
2023年9月、裏磐梯にある工房で倒れ、53歳で帰らぬ人となった。心筋梗塞だった。新しい技法や創作活動にも挑み、これからが期待される矢先だった。
今回の遺作展では、卵殻を使って80号のキャンバスに描いた漆絵「流(ながれ)」や妻の足形から着想したという力作「光と影の中で」など、さまざまな技法で表現した色鮮やかで光沢のある漆の美の世界が広がる。また、沈金盆や銘々皿など小物も含め計約60点が並ぶ。
同展は6月14日まで。週末の5月24日、6月1、8、14日には、会場に角田さんの妻、弥生さんが駆け付ける予定。開館は午前10時~午後4時。水・木曜休館。入場無料。