時代先取り看板商品に 塩きんつば 扇屋(佐野)
下野新聞
2022年4月5日
明治元(1868)年創業の老舗和菓子店。ようかん、大福といったおなじみの菓子から茶席で供される生菓子も提供し、地元住民に親しまれてきた。
6代目の石倉大(いしくらまさる)社長(38)は「おいしく食べていただくため決して変えてはいけないことがある一方で、時代に合わせて変えていかなければならないこともある」と語る。
例えば、約30年前、先代が販売を始めた塩きんつば(160円)。「かつては甘いだけで売れていた時代もあった」というが、嗜好(しこう)の変化を読み取り、あえてあんに焼き塩を混ぜた。「その結果、塩が小豆の風味を引き出し、味に丸みが出てきた。大福などと比べ日持ちもするので、今では一番の人気商品」と笑う。
先代から受け継いだもう一つのこだわりは、「お客さまの心を豊かに彩るお菓子を作る」ことだという。ロシアのウクライナ侵攻を受け、ウクライナ国旗を模したらくがんを販売、売り上げを国連児童基金(ユニセフ)に寄付したことも話題となった。
「ゆくゆくは地元産の材料をもっと使い、お菓子を通して佐野の魅力を表現していきたい」。創業200年を見据えた老舗社長の大きな目標だ。
■メモ 佐野市大祝町2302。午前8時~午後5時。水曜定休。(問)0283・22・0973。