「雪の殿さま」功績紹介 茨城・古河で土井利位展 書簡、着物、印籠など82点
茨城県古河市中央町3丁目の古河歴史博物館で企画展「雪の殿さま 土井利位(としつら)」が開かれている。江戸時代後期の古河藩主、土井利位は1832年、日本初の雪の科学書「雪華図説」を刊行。結晶のデザインを用いた書簡や着物、印籠などの展示品82点を通じ、雪の結晶の形を研究して広めた利位の功績を紹介している。2月27日まで。
利位は同藩家老、鷹見泉石と協力して、20年以上にわたり雪の結晶を観察。結晶の形を描写して「雪華図説」と1840年刊行の「続雪華図説」にまとめた。
結晶のデザインは、越後国の商人、鈴木牧之が「北越雪譜」に引用したのを機に流行。現在に至るまで多様な形で利用されている。
同展では雪華図説と続雪華図説の書籍展示とともに、全ページをパネルで紹介。収録された結晶計183種のほか、利位が記した雪の観察方法や「西洋の記録と同じ形がある」などと記した泉石の後書きを読むことができる。
いずれも国重要文化財に指定されている、雪の結晶のデザインが施された利位の書状や泉石の印籠も展示。デザインが広く流行していたことを示す狂言師の衣装、刀のつば、錦絵なども会場に並ぶ。
同館の永用俊彦学芸員は「利位が長年諦めずに観察を続けたことで、日本人の琴線に触れる成果につながった。展示を通じて粘り強く続けることの大切さを、特に子どもたちに感じてもらいたい」と話した。
開館時間は午前9時~午後5時(入館同4時半まで)。一般400円、小中高生100円。問い合わせは同館(電)0280(22)5211。