江戸期の感染症 テーマ展 日光の二宮尊徳記念館 祭礼など対処法紹介 先人たちは疫病にどう対峙したか
【日光】今市の市二宮尊徳(にのみやそんとく)記念館で18日、先人たちが疫病にどう対峙(たいじ)したのかを振り返るテーマ展「江戸時代の感染症と人々のくらし」が始まった。新型コロナウイルス禍が続く中、今も地域に残る祭礼や信仰を通して、当時の疫病への対処法を紹介。また、二宮家の人々と疫病の関わりから、幕末の医療の進展にも焦点を当てている。
天然痘やはしか、コレラなどが流行した江戸時代。当時の人たちは、疫病を防ぐ存在とされる「牛頭天王(ごずてんのう)」などを神社にまつったり、集落の境界にわら人形や大わらじを置いたりし、祭礼を行うことで予防や軽症化を願った。現在も、栗山や豊岡などの地域にはそうした祭礼が残る。
幕末には先進的医療を取り入れる動きが出始め、1859年に尊徳の息子弥太郎(やたろう)がコレラにかかり重篤化した際は、壬生藩医の斎藤玄昌(さいとうげんしょう)の治療により一命を取り留めた。玄昌は天然痘の予防接種「種痘」を率先して進めた種痘医としても知られ、弥太郎の子どもたちも接種を受けたという。
テーマ展では、現在も祭礼で使われている牛頭天王と記されたのぼり旗や獅子舞用具などを展示し、人々の祈りに対する真摯(しんし)な姿を紹介。また市内に残る古文書を通じ、61年に弥太郎らが農村復興事業「報徳仕法」を実施していた最中に轟村(現・轟)を襲った疫病の実態や、「報徳無利息金」という生活安定のための独自の財政支援策についても解説している。
来場した野木町潤島(うるうじま)、無職畑下学(はたしたまなぶ)さん(65)は「感染症は昔からあり、共存せざるを得ない。先人たちがどう感染症と向きあったのか知ることができてよかった」と話した。
3月31日まで。月曜休館(祝日は開館し、翌日休館)。2月18日に展示を一部入れ替える。入場無料。
(問)同館0288・25・7333。