大成殿の大修理完了 史跡足利学校 耐震化、鉄骨などで補強 29日、記念式典と内覧会

下野新聞
2020年8月21日

 【足利】江戸時代の創建以来最大規模の保存修理工事が行われていた史跡足利学校の大成殿(孔子廟(びょう))について、和泉(いずみ)聡(さとし)市長は20日の定例記者会見で工事が完了したと発表した。記念式典と内覧会を29日、同学校で行う。

 大成殿は孔子を祭る孔子廟として1668年に建立され、同学校の国史跡構成建物の一つ。2011年の東日本大震災で傾き、18年度から建物全体に足場を組んで修理を行っていた。

 修理は1972、73年度に瓦のふき替えなどを行って以来。今回は瓦や壁板などを外して骨組みだけの状態にして傾きを直し、腐朽した柱の根元部分は新たな柱材を継ぎ、抜本的な補強が必要な部分は鉄骨を添えるなどして震度6強にも耐えられるようにした。

 また工事の過程では、建物下で初の発掘調査なども実施。同調査で出土した陶磁器片の年代から基壇(基礎)も創建当時のものと確認した。床下からは学校長に当たる庠主(しょうしゅ)が戦国時代に残した木板「稲荷大明神神像奉納由来記」が見つかるなどの発見もあった。

 記念事業として29、30日午前10時~正午、職員が大成殿を案内する特別公開を行うほか、29日~9月7日は参観無料にする。

 和泉市長は「日本で一番古く、一番大きい孔子廟。傾いた骨組みから本格的に修理する作業となった。平成令和の大修理といえ、これまでで指折りの規模の修理になった」と話した。

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