茨城県北の新たな魅力を 伝説の地巡るドラマ7話 16日から
■短編動画、順次配信へ
茨城県北地域の新たな魅力の発信を目的に、県は地元6市町と連携し、インターネット配信用の短編動画を完成させた。県北地域を舞台に、伝説や民話が伝わる地を高校生が巡る“青春ファンタジー”で全7話。県のインターネット動画サイト「いばキラTV」で順次公開される。観光ガイドブックなどでは紹介されない「県北地域の隠れた魅力」が満載。県は「県北にはまだ知られていない神秘的な絶景が多くある。地元の方は魅力を見つめ直し、県北を知らない人には興味を持ってもらいたい」と話す。
■6市町舞台
県と県北地域6市町(日立、常陸太田、高萩、北茨城、常陸大宮、大子)は、4月に観光や広報の担当者が打ち合わせを開始。地域資源や魅力を物語にどう盛り込んでPRしていくか検討し、地域の語り部にも話を聞きながら脚本を固め、7月に撮影を行った。
動画のタイトルは「県北高校フシギ部の事件ノート」。ドラマ仕立てで、「県北を舞台にした青春ファンタジームービー」(県担当者)に仕上がった。物語は、架空の「県北高校」フシギ部の部員たちが「不動滝の河童(かっぱ)」(高萩市)や「伊福部岳の雷神」(日立市)など、県北各地に伝わる伝説や民話の地を訪ねて体感するうちに、不思議な出来事に巻き込まれる内容。青春時代特有の淡い恋も描かれる。
■神秘的絶景
撮影場所は、観光ガイドブックで紹介されているような名所だけでなく、天狗岩(大子町)や百観音自然公園(常陸大宮市)など、これまであまり知られていなかった美しく神秘的な県北地域の絶景や魅力を感じることができる。部員たちが各地域で食べる、フルーツほおずきやポポーアイス、地元精肉店の唐揚げなどのグルメにも注目だ。
主な出演者は、新人俳優でモデルとしても活動する凜美(りみ)さんと、アイドルユニット出身の其原有沙(そのはらありさ)さん、ミュージカルにも出演する新原泰佑(にいはらたいすけ)さん。地元の一般出演者が多いのも見どころ。エンディング曲は常陸大宮市出身のシンガー・ソングライター、nikiie(ニキー)さんが歌う。監督は、テレビドラマなど手掛ける石井永二さん。
■豊かな自然
人口減少や少子高齢化が急速に進展する県北地域の振興へ、県は取り組みを進めている。短編動画のほか、本年度は、地域課題を起業で解決する「県北起業型地域おこし協力隊」、里山や観光地をつなぐ全長320キロの里山道「県北ロングトレイル」、新たなビジネス創出で地域活性化を図る「県北ローカルベンチャースクール」などさまざまな角度から地域を掘り起こす。
宮本ナミ役の其原さんは「県北地域の魅力は豊かな自然とおいしい食べ物」とし、「東京から少し離れてこんなにも自然があると、少し遠出したい時に訪れたいなと思った。自然に触れ、景色を見ながら茨城名物を食べられるのは最高」と語る。
県県北振興局の担当者は「伝説や民話が伝わるロケ地を巡り、登場人物が食べたものを食べ歩くなどして県北地域を楽しんでほしい。中高年の県北ファンは多いが、若い方にももっと魅力を伝える取り組みを進めたい」と話す。
公開は、前編(第1~3話)が16日から、後編(第4~7話)が22日から。