家族で守る郷土の味  けんちんそば もり食堂(那須烏山)

下野新聞
2021年6月25日

 太さや長さがふぞろいの野趣あふれる田舎そば。頬張るとそばの風味がしっかり感じられ、そばがきをかみ締めるような満足感を覚える。大根、ゴボウ、豆腐など具材たっぷりのけんちん汁にひたし、一心不乱にかき込んでしまう。

 八溝山地の自然水と、自家栽培の玄そばを使った純手打ちそば。駒板を使わず、手を当ててそばを切り出す「手駒」の乱切りにこだわる。看板メニューのけんちんそばは、冷たいそばを温かい汁に浸す「つけそば」としても提供している。

 創業は1972年。当初は、今も健在の大森(おおもり)ミイさん(92)と夫の故伊都美(いつみ)さんが、狩猟や山菜採りに訪れた人々に郷土料理のけんちんそばを振る舞う店だったという。現在は次男秀男(ひでお)さん(68)がそばを仕込み、孫の石川恵里果(いしかわえりか)さん(38)が店の顔となっており、家族で切り盛りする。

 昨年、県内のユーチューバーが店のかつ丼などを紹介し、「店の認知度が、がぜん上がった」と話す恵里果さん。「実は私、そばアレルギーなんです」と打ち明けつつ、「この店をわが家のように親しみ、くつろいでくださるお客さまと触れ合うのが一番の喜びです」と目を輝かせた。

 【メモ】けんちんそば、けんちんつけそばとも600円▽那須烏山市上境1778▽営業時間 午前11時~午後1時半▽定休日 火曜(祝日の場合は次の平日)▽(問)0287・83・1898

地図を開く 近くのニュース