《いばらき紀行》線路跡を包む紫(石岡市)

茨城新聞
2021年6月21日

線路跡に沿って咲く紫の花を、バスのヘッドライトが照らす。茨城県石岡市南台の「かしてつバス」専用道。2007年まで同市と鉾田市を結んだ鹿島鉄道のうち、石岡-旧四箇村駅跡はバス専用道路に生まれ変わった。石岡一高下-石岡玉里停留所付近の区間には、11、12年に近隣住民らがアジサイを植え、今ではバスを包むように花が咲き渡る。数百メートル先の停留所まで見通せる直線の道は、在りし日の鉄路を想起させる。花は走り抜けるバスの風に揺れ、まとった雨粒が静かにこぼれる。

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