利用客、初の10万人超 つくば霞ケ浦りんりんロード 20年度 全県波及へ発信強化

茨城新聞
2021年6月20日

茨城県の筑波山麓や霞ケ浦周辺の自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」の2020年度利用客が、推計10万5千人となり、全線開通以来初めて10万人を超えた。コロナ禍によるアウトドア志向の高まりを背景に、堅調に推移した。県は、この流れを全県に波及させようと、会員制交流サイト(SNS)で影響力を持つ「インフルエンサー」と協力し、沿線の魅力を知ってもらう情報発信に力を入れている。

コト消費シフト
全長約180キロの同ロードは、高低差が小さく専用道区間が長いため、初心者でも楽しめる。19年には国の「ナショナルサイクルルート」に指定された。県によると、利用客は全線開通した16年度の4万8千人から年々増えている。

新型コロナウイルスの影響で20年度は一時、沿線のレンタサイクルや駐車場などが閉鎖された。その後は3密回避の需要を取り込んで回復し、利用客は前年度比1万2千人増えた。

要因について県スポーツ推進課は、コロナ禍での健康・アウトドア志向の高まりや受け入れ環境の充実を挙げ、「県境をまたぐ移動の自粛があった1年。県内客も増えたのでは」と推測する。

県内に長く滞在してもらおうと、県は昨年から「サイクリストにやさしい宿」の認定制度を開始。安全な保管場所があり、手荷物の預かりが可能なホテルや旅館などが、沿線に25施設そろう。

JR土浦駅直結のサイクリングホテル「星野リゾートBEB5(ベブファイブ) 土浦」の大庭祐太総支配人は「一日だけではもったいないエリア。『コト消費』へのシフトで楽しみ方も広がっている」と話す。

稼げる地域に
県は県内に四つのモデルルートを設定し、県北や海沿いも含めた県全域で自転車を通した観光「サイクルツーリズム」を推進している。

今月には新たな情報発信の取り組みとして、インフルエンサーユニット「いばらきサイクリングナビゲーター」を結成。自転車の魅力を動画投稿サイト「ユーチューブ」などで伝える3組を委嘱した。

結成のきっかけは昨年実施したマーケティング調査。サイクリストが行き先を決める際の情報源として、自転車情報サイトに次いで多かったのが、インフルエンサーなど個人のSNSだった。

3組には今後、イベントへのゲスト参加のほか、県内コースの走行環境や観光地の魅力を発信してもらう。ナビゲーターの一人で山道を好む「篠」さんは「奥久慈は特に景色が良く、走りやすく、魅了された。県北の魅力も伝えたい」と意気込む。

「奥久慈里山」や「大洗・ひたち海浜」などのコースも、本年度中に路面標示や案内標識などの整備が完了する予定。同課は「サイクルツーリズムを通じた稼げる地域づくりを目指したい」としている。

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