風物詩「わらぼっち」に魅せられて 大子・ドレメ美術館 30日まで武石さん洋画展
茨城県大子町の田園の風物詩「わらぼっち」に魅せられ、描き続ける同町在住の日展会友の洋画家、武石絹枝さん(85)の個展が、同町大子の「ドレメ美術館」で開かれている。30日まで。
稲刈り後、田んぼに稲わらを積み、家畜の餌や茶畑、野菜栽培などに使うため天日で乾燥させる「わらぼっち」。高さ3メートルに至る所もあり、農家によって形はまちまち。約30年前までは町内に広く見られたが、農家の高齢化とともに数は減り、今では町内数カ所に残るのみ。
武石さんは57年前、美術教師として大子二高に赴任した。「(わらぼっちは)大子の風土にぴったりで、愛らしい風景は家族が寄り添って会話しているよう。収穫の喜びも詰まっている」と、特に雪景色のその姿にすっかり魅せられ、創作のモチーフとなり、保存活動も行ってきた。
日展初入選後に開いてきた個展は20回目。今回、2018~20年の改組新日展の入選作品「雪の晴間」「寒村の冬」「春雪」や光風会展の作品をはじめ、もう一つの風物詩「久慈川のシガ」など描いた作品なども含め36点を展示。一部作品の即売も行っている。
今回個展を開いている美術館は、一昨年の台風19号の水害から今年3月に復活し、元洋裁学校を改装した古民家風の建物。「新型コロナ対策を十分に行っているので、新緑の美しい季節の奥久慈においでいただき、ぜひ鑑賞してほしい」と、武石さんは来場を心待ちにしている。
同館は同町役場通り、筑波銀行大子支店向かい。水・木曜日休館。入館無料。
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