《旬もの》驚きの高糖度トマト ドロップファーム(水戸市) 特殊な栽培方法導入 

茨城新聞
2021年4月9日

見た目は普通のミニトマト。しかし一粒口に入れてかみしめると、ほのかな酸味とえぐみのなさが甘さを際立たせ「これがトマト!?」と誰もが驚くこと請け合いだ。

水戸市の株式会社「ドロップ」が同市成沢町の「ドロップファーム」で栽培する「フルーツトマト」は平均糖度が10度、高いものは14度になる。普通のトマトは糖度4~6度くらい。高糖度の品種でも従来の栽培方法では7~8度なので、フルーツトマトの甘さは群を抜いている。

秘密は特殊な栽培方法「アイメック農法」にある。ハウス内に整然と林立するトマトの木は、ナノサイズの穴が開いた親水性フィルム上の植物由来の改良用土に植え付けられ、水に養分を溶かした最低限の「養液」で成長、結実する。

トマトは懸命に養分を吸い上げようとし、しっかりと根を密生させる結果、実は甘みを増し、ビタミンも豊富になる。一番気を使うのは養液の管理。会社を切り盛りする三浦綾佳社長は「多過ぎても少な過ぎてもトマトの木は健康に育たない。木の状態を観察し、必要とされる量の見極めが肝心」と難しさを話す。

脇芽の剪定(せんてい)も重要だ。不要な芽を切り、実に栄養分を集中させる。1本の木から一度に採るトマトは2~3粒だ。 同社は現在、3品種のフルーツトマトを栽培、出荷するほか、それぞれのジュースをブレンドした「美容ジュース」も販売している。

ドロップファームの美容トマト商品

元々は夫とともに都内で広告代理店を経営していた三浦社長。子どもの生まれるタイミングで、家族との時間と仕事の両立を考え、農作物や自然と向き合う農業に可能性を見いだした。

手軽に食べ比べられ味も分かりやすく、付加価値を高めやすいトマトに着目。夫の親族の土地を活用して、高糖度をセールスポイントに高級品志向のトマト栽培に乗り出したのが2015年。

6棟2500平方メートルでスタートしたハウスは、12棟5000平方メートルまで拡大。11月から翌年7月にかけて約14~18トンを栽培、出荷している。今季は高性能の糖度センサーを導入。一粒一粒に糖度保証を付けられる体制が整った。

ハウスに隣接して自前のトマトジュース生産工場も建設中で、8月の稼働を目指す。三浦社長は「ゆくゆくは消費者自ら摘んだトマトで、オリジナルブレンドのジュースを作れるようにしたい」と農場の観光化も視野に入れている。

メモ
ドロップファーム
▽住所は水戸市成沢町870の7
▽(電)029(246)6711 ファクス029(246)6712
▽ホームページはhttps://www.dropfarm.jp/
▽同社のフルーツトマトは県内では水戸京成百貨店、ヨークベニマル、サンユー、ランドローム各店で、都内は三越銀座で販売。

地図を開く 近くのニュース