《旬もの》サンサンファーム倉持(茨城・下妻市) 土の力で高糖度トマト

茨城新聞
2022年3月14日

茨城県下妻市江の農家「サンサンファーム倉持」は代表の倉持信也さん(36)と妻の知笑さん(36)が二人三脚でスタートした。レタス、トウモロコシ、ナス、ブロッコリー、ハクサイ、そして主力のトマト。栽培する野菜はどれも好評だ。

信也さんと知笑さんの実家はともに農家。2人とも継ぐ気はさらさらなく、会社員になった。しかし結婚と前後して、信也さんは義父から「農業も面白いよ」と誘われ、週末の農作業手伝いや家庭菜園を始める。

農業は土壌や病害虫、気候など、自然を相手に思うに任せぬことばかり。けれども土に合った品種を見いだし、観察してデータを取り、改善点を考える。夫婦で勉強し探究していく中で、農業に向き合う面白さに気付き自信を深めていった。質を追求する農業に思いを定め、2013年に独立した。

メインのトマトは4棟10アールのハウスで12月から翌年6月まで、大小12品種を栽培、出荷する。トマトの糖度は通常6~8度。9度を超えると、果物並みの甘さからフルーツトマトと称して販売される。

同ファームの高糖度ミニトマトは平均10度を超え、12度以上も珍しくない。口に含むとわずかな酸味と果物のような甘みが広がり、かみしめて残る薄皮がトマトを主張する。

甘さの秘密は「土づくり」と倉持さん。土壌のチッソやリンなどミネラルのバランスを整え「土の力を最大限引き出し、元気な木に育てることが、甘くおいしいトマト作りにつながる」と信念を持って励む。

12種類のトマトは色も深紅から黄、オレンジ、緑とさまざま。酸味や甘みも上品だったり爽やかだったり、食感も肉厚や薄皮など「品種の特徴がよく現れている」という。

カラフルな12品種のトマトを販売

 

昨年から就農を目指す従業員2人を入れ「少しずつでも仲間を増やし、地域農業の担い手を育てるのも仕事」と経営者としての責任を語る。設備投資にも積極的だ。自動開閉して温度管理できるハウス、リアルタイムで温度、湿度データをパソコンに送信記録するシステムなどを導入。品質の向上と安定が図れた。

倉持さんのトマトは「道の駅しもつま」、スーパー・カスミ下妻店、同下妻ふるさわ店の地元野菜コーナーで買える。倉持さん宅を探し訪ね、買いに来るファンもいる。

■メモ
サンサンファーム倉持
▽下妻市江1750の2
▽(電)090(1604)4368、(電)0296(43)2487(ファクス兼)