11月死去の写真家・小原玲さん 報道や動物 軌跡100点 群馬・前橋高の同級生企画

上毛新聞
2022年3月15日

昨年11月に60歳で亡くなった前橋高(群馬県)出身の報道・動物写真家、小原玲さんの作品展「最後の伝言」が12日、JR前橋駅前のアクエル前橋2階で始まった。同級生の同校54会有志が企画し、クラウドファンディングなどで資金を集めた。原点となった高校時代の級友の姿を切り取った写真、報道のスクープ作品、アザラシをはじめ愛らしい動物など計100点を展示し、写真家としての軌跡を紹介している。4月10日まで。

小原さんは同校在学時から学校内で級友や学校行事を撮影。出版社のコンテストで最優秀賞に選ばれ、写真家を志した。写真週刊誌「フライデー」のエースとして数々のスクープをものにし、フリーに転じてからは湾岸戦争やソマリア内戦を取材した。

その後、野生動物を被写体に選んだ。かわいいアザラシの写真集でブームを巻き起こす一方、赤ちゃんアザラシの成育に欠かせない流氷が減少しているとして地球温暖化による危機を伝える役割を担った。昨秋に同級生にがんを患っていることを打ち明け、地元での作品展開催を楽しみにしていたが亡くなった。

会場には、同級生の松本稔さんが甲子園史上初の完全試合を達成した1978年の第50回選抜高校野球大会をはじめ、高崎高との定期戦、文化祭、教室での生徒の生き生きとした表情が並ぶ。アザラシや小鳥の愛らしい作品が人気を集め、ロス疑惑の容疑者逮捕の瞬間、日航機墜落事故、中国・天安門事件といったスクープ写真も紹介している。

開幕式で山本龍市長は「高校の1年後輩、小原君が素晴らしい作品と縁をのこしてくれた」とあいさつ。小原さんの同級生でコシダカホールディングスの腰高博社長は「小原君が何を伝えたかったのか。アザラシの瞳に向き合った真っすぐな気持ちを感じてほしい」と述べた。

27日午前10時半から、トーク&ミュージックライブを開く。小原さんの妻で作家・教育心理学者の堀田あけみさんがトークに、同級生でミュージシャンの加藤和広さんがライブにそれぞれ出演する。

イベントを含めて入場無料。午前10時~午後6時。写真集やポストカードなども販売している。