《いばらき御朱印めぐり》石岡・常陸国総社宮 八百万の神々を合祀  手塚治虫に縁、キャラ使用

茨城新聞
2021年4月10日

約1300年前、7世紀半ば、常陸国(ひたちのくに)の国府が置かれていた茨城県石岡市。同市総社には八百万(やおよろず)の神々を1カ所に合祀(ごうし)した常陸国総社宮(そうしゃぐう)(石崎雅比古宮司)がある。律令時代の国府の長、国司が神々に祈りをささげた由緒ある同神社はまた、日本漫画・アニメ界の巨匠、手塚治虫の作品キャラクターをデザインした御朱印帳や絵馬を出していることでも知られる。

常陸国総社宮の御朱印帳と期間限定で発売されたジャングル大帝レオをあしらった御朱印帳を手に歴史を語る石崎貴比古禰宜=石岡市総社

同神社の北側、市立石岡小学校校庭には国衙(こくが)跡遺跡があり、2010年には国指定史跡に登録された。境内には倭武天皇(やまとたけるのすめらみこと)が腰掛けたと伝わる「神石」があり、悠久の歴史を伝える。

歴史もさることながら近年、御朱印ファンの熱い視線を集めているのは、「ジャングル大帝レオ」をあしらった同神社のオリジナル御朱印帳とお守り。そして「火の鳥」をデザインした絵馬だ。「常陸国風土記」成立1300年を記念して13年から頒布を始めたもので、手塚治虫と石岡市はいかなるつながりがあるのか。

江戸時代末期、石岡市が府中松平藩と呼ばれていた頃、同藩に手塚良庵という藩医がいた。手塚治虫の先祖である。同市内の寺には、親類の墓も確認され、石岡市が手塚治虫ルーツの地と判明している。手塚は良庵を主人公とした作品「陽だまりの樹」で祖先への思いを描いた。

そうした縁にちなみ、同神社は御朱印帳と絵馬への手塚作品のキャラクター使用を手塚プロダクションに打診。手塚の先祖ゆかりの地であることや、倭武天皇の腰掛石「神石」があり、「火の鳥」にヤマトタケルをモデルにしたキャラクターが登場すること-などが認められ、キャラクターの使用が許された。

「地域おこしを後押しする意味合いもあったかもしれません」と企画立案した同神社禰宜(ねぎ)の石崎貴比古さん(42)。「手塚先生ゆかりの地ということで、地元の熱意をくみ取ってくれた」と経緯を振り返る。

レオ御朱印帳の頒布は年2回、新年三が日と9月の例大祭期間中のみ。根強い手塚人気と相まって人気が高いが、石崎さんは漫画のキャラクターをデザインした物珍しさだけが注目されることを戒める。「神様は目に見えないが、参拝した証しとして形になった御朱印を手にして、伝統への敬意と思いを新たにしてほしい」と御朱印に込めた思いを話し、「これからも風土、季節を感じさせる御朱印を出していきたい」としている。(第1土曜日掲載)

■メモ

アクセス:常磐自動車道石岡小美玉スマートICを下り国道355号を「石岡市街」方面へ。石岡市街に入り、常陽銀行石岡支店先の「中町国府3丁目」信号を右折。道なりに約500メートル進み「総社宮駐車場」の看板がある路地を右折すると左側に駐車場が見える。
住所:石岡市総社2の8の1
電話:0299(22)2233
御朱印:通年で頒布している御朱印帳は御朱印代合わせ1500~2000円。正月、例大祭の限定御朱印帳は御朱印代含め2500円。午前9時~午後5時。

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